平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2055

専門分類

8

研究課題名

英語コーパスにおける文章難易度の測定について −応用言語学視点を用いて−

フリガナ

代表者氏名

タカハシ カオル

高橋 薫

ローマ字

Kaoru Takahashi

所属機関

豊田工業高等専門学校

所属部局

一般学科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究では、コーパス言語学におけるテキストタイポロジー(以後、類型論)に関
する研究成果が応用言語学の研究分野にどのように反映されるかを示し類型論の新た
な展開を目指す。
 その手始めとして、応用言語学や英語教育での「テキストの難易度」に関する理論
の検証にコーパスの活用が有益である点を明らかにし、コーパス言語学の新たな方向
性を探るものである。
 本研究では、1億語の規模を持つ British National Corpus(最近公開)の解析を中心
に、「複雑性の高い構成成分」の代表例として、関係節に焦点をあてる。関係節は,言
語習得研究においても「複雑な統語構造」(complex syntactic structure)(Long & Sato,
1984)のひとつとして、研究対象に取り上げられることの多い文法項目である。
 英文の読解難易度を測定する方程式(readability formula)の構築において,単語数と
音節数のどちらを文の複雑性を規定する要因としてとらえるかについて,長岐に渡る
論争がある。読解難易度方程式に関する研究を総合的に検討した Klare(1988)によれ
ば,一般的に単語数を指標として用いた方が簡便であり広く用いられているため、関
係節に含まれる単語数を算出し比較することによって仮説の検証を行った。本研究で
は,Leech(1983)が提唱する「語用論的処理可能性原理」(Processibility Principles of
Pragmatics)の1つである「文末重点の原則」(The Maxim of End-Weight)の妥当性を
コンピュータ・プログラムの構築とコーパス・データの解析により検証した。「文末重
点の原則」の内容を検討し,そこから導き出された仮説はおおむね支持された。今後
は非制限用法の関係節,ゼロ関係節を正しく認識し,その使用数も測定できるプログ
ラムの開発をめざし,今回取り上げなかった仮説の妥当性を検証していく必要がある。
 さらにこの研究成果をテキストタイポロジーの観点から分析することを次のステッ
プとして検討中である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文
・ Text Typology in English Corpora -Multi-Feature and Multi-Dimensional Analyses-
{Kaoru Takahashi,The Institute of Statistics Mathematics Cooperative Research Report
162(2003)}
・ What does a corpus tell us about judgements of text difficulty?
-An analysis of"perceived level of difficulty"in the British National Corpus-
{Junko Yamashita,Akihiro Ito,English Corpus Studies,Japan Association for English
Corpus Studies(2002)}
学会発表
応用言語学的視点による 英語コーパスの解析 高橋 薫 伊藤彰浩 山下淳子 英語コーパス学会 第19回大会 2002年4月
A study of text typology:multi-feature and multi-dimensional approach Takahashi, Kaoru ICAME 2002 in Sweden 2002年6月
大規模英語文章資料集 (BNC)による類型論-数量 化?類を用いて 高橋 薫 第30回日本行動計 量学会大会 2002年9月
A Study of Text Types and Register Variation in the British National Corpus Takahashi, Kaoru Corpus Linguistics 2003 in Britain 2003年3月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 彰浩

愛知学院大学

村上 征勝

統計数理研究所

山下 淳子

名古屋大学