平成252013)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

25−共研−8

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

8

研究課題名

モニタリングデータ時系列およびそれらに及ぼす環境要因解析

フリガナ

代表者氏名

サカイ マサハル

酒井 正治

ローマ字

Sakai Masaharu

所属機関

森林総合研究所

所属部局

立地環境研究領域

職  名

主任研究員

 

 

研究目的と成果の概要

解析の対象とするデータは、二つのモニタリングデータ、つまり、一つは昨年度から指導を受けている酸性雨モニタリングデータともう一つは今年度から新たに解析を始めたタイ国の荒廃草地に植林した森林のバイオマスモニタリングデータである。
 前者は、独立行政法人森林総合研究所九州支所内(所在地、熊本市)で、約15年間(1992年6月から2007年3月)、一降雨毎に林外雨、樹冠通過雨(樹木の葉や枝から落ちる雨)、樹幹流(幹を伝って落ちる雨)を採取した雨水および大気降下物のpH、EC(電気伝導度)、陰イオン、陽イオン成分のモニタリングデータで、季節変動や年変動解析のほかに、中国からの越境汚染、例えば黄砂およびPM2.5を含む大気エアロゾルの特徴およびそれらが酸性雨に及ぼす影響解析を中心に行った。その結果、Si、Al、Fe、Ca、Ti、Sの6元素が黄砂飛来期間と通常期間(黄砂の飛来しない期間)の間で差が認められ、S以外は黄砂飛来時期に大きな値を示した。なお、Sは通常期間の方が黄砂飛来期間より高い値を示したが、これはローカル特に阿蘇、雲仙、桜島などの火山起源が強く影響していると推定された。また、主要イオンについては、黄砂飛来時には総イオン濃度が著しく上昇し、特に雨水中のCaイオン濃度への影響が大きく現れた。このように、大陸起源の汚染物質が熊本へ移流し、大気および雨水に影響を及ぼしていることを把握することができた。これらの成果は、学会誌に投稿する予定である。
 後者の森林バイオマスモニタリングデータの解析については、十分な時間をとれなかったため、今後の検討課題である。
 なお、研究所訪問およびメールの手段を通し、指導教官と議論できたことは、現場の研究者にとって有意義であった。