平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−71

専門分類

7

研究課題名

疫学研究におけるリスク評価のためのプログラム・システムの開発

フリガナ

代表者氏名

タカギ ヒロフミ

高木 廣文

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

疫学研究では特定の疾病への要因の影響を適切に評価する必要がある。リスク比,リスク差,オッズ比などがリスク評価のために用いられているが,多重分割表などから適切に,それらの統計量を求めるためのプログラム・システムはほとんどない。本研究では各リスク評価の方法を検討し,実用的なプログラム・システムを作成することを目的とする。


疫学研究では、特定要因と研究上の疾患の因果関係を明らかにすることを最終的な目的とする。このために、様々な調査研究方法が開発されており、各調査法に基づくデータから当該要因と疾患との関係を示すための統計的な指標と解析方法が考察されてきた。
本研究では、とくにcase-control studyで用いられているリスク評価のための指標であるオッズ比に関する解析プログラムを開発・整備した。case-control studyでは、交絡因子の影響を避けるために、当該因子と考えられる変数の各水準により調査対象をあらかじめ層別化し、各層内での交絡因子の影響を均質化する。問題は各層での共通オッズ比の点推定値とその信頼区間を求める点にある。従来から、共通オッズ比の推定方法としてMantel-Haeszelの方法がある。また、この推定の前提となる均一性の仮定を検定するため方法としてBreslow-Day検定があるが、これらについてはすでにFORTRANによりプログラムした。共通オッズ比の推定には、上記のような近似的な方法ではなく、非心超幾何分布に基づく正確な方法がある。従来は計算に時間がかかると言われていたが、比較的高速なプログラムを作成した。
共通オッズ比の信頼区間を構成するには、近似的な方法としてRobinsらの方法、Satoの方法が代表的であるが、これはMantel-Haeszel推定量の漸近分散を用いて行うものである。条件付最尤推定量に基づくスコアて検定を利用する方法もあり、これらについてはプログラム化した。共通オッズ比の正確な信頼区間を構成するためのプログラムも作成し、これらの各プログラムを統合したシステムにするための作業を継続している。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Takagi,Hirofumi:Approximate and Exact Methods for Computing the Confidence Limits for the Common Odds Ratio in a Series of 2x2 Tables, Bulletin of the Biometrics Society of Japan,Vol.12,No.1 & No.2,55-65,1991.
Takagi,Hirofumi:Program on the Conditional Maximum Likelihood Estimate of the Common Odds Ratio and the AIC in the Analysis of K 2x2 Tables, Computer Science Monographs,No.26,Feb.,1991.
高木廣文,層別四分表の共通オッズ比の信頼区間推定の近似的方法と正確な方法の比較,日本計量生物学会,1991年4月20日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成2年度は,層別四分表に関する共通オッズ比の近似的な推定方法,および正確な推定方法に関するプログラムを開発した。その成果を踏まえて,今回は一般の多重分割表に関するリスク比やオッズ比に関する推論のための方法およびプログラムの開発に重点を置く。ただし,層別四分表の共通リスク比やリスク差についてのプログラムは未開発なのでその開発も行なう予定である。プムグラムの開発は,各研究員のパソコン上で行うが,それらを統合して,実用的な面での問題点を検討するためには,統計数理研究所の大型計算機および物理乱数発生装置を用いて,大規模なシミュレーションを行なう予定である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐伯 圭一郎

大分県立看護科学大学

佐藤 俊哉

統計数理研究所

中井 里史

横浜国立大学

新田 裕史

国立環境研究所