昭和631988)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

63−共研−51

専門分類

5

研究課題名

ランダムなフラクタル・パターンの成長機構と統計

フリガナ

代表者氏名

マツシタ ミツグ

松下 貢

ローマ字

所属機関

中央大学

所属部局

理工学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

13 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

自然界にはランダムなフラクタル・パターンが遍く見られることが最近注目されており,それらをシミュレートするモデルもいくつか提案され,計算機シミュレーション・実験・理論的研究が急速に進められている。モデル例としては,樹枝状結晶成長など幅広い自然現象に関連したラプラス場中のパターン形成を記述する拡散律速型凝集(DLA),コロイド系に関連したクラスター凝集,薄膜成長,動的パーコレーション,癌・腫瘍の成長,疫病伝播など多彩である。従来はフラクタル・パターンの構造とその成長機構との関連の解明が研究の主題であったが,依然として飛躍が見られていない。他方,これらのパターンは通常,個々のクラスターからなるとみなされ,それら同志の競合によって成長したものである以上,パターンの全体構造,個々のクラスターの構造と統計との間に密接な関連があるはずであり,今後の興味深い課題である。従ってこれらに関連した問題に興味を抱く実験・理論・計算機関係の研究者が一堂に会して議論


自然界にはランダムなフラクタル・パターンがかなり普遍的に存在することが指摘されて以来,それらのより詳しい分析,種々の現象に伴うパターン形成のモデルの提案,その計算機シミュレーション・実験・理論的研究が’80年代に入って欧米を中心に急速に進められて来た。こういった状況を踏まえてなされた今回の研究会はまさに時宜にかなったものと言えた。これは,企画当初小さな研究会のつもりが,実際には発表件数22件,3日間にわたり全国各地から常時40名以上の参加者を数え,延べ70名にも達したことからも察せられる。
今回の研究会で発表・議論されたテーマは多岐にわたるが大別して次のようにまとめられる:(1)金属葉,誘電破壊など幅広い自然現象に関連したラプラス場の中でのパターン形成を記述する拡散律速型凝集(DLA)に関連した問題。(2)多様なコロイド系の凝集現象に関する問題。(3)森林火災,疫病や地震の伝播などに関連した動的パーコレーション問題。(4)マルチフラクタルの考え方とその応用。(5)結晶成長に関する諸問題。(6)その他(各種欠陥のダイナミックス,1/fノイズ等)。以上について非常に活発な議論がなされ,多くの今後の課題が指適された。これらの問題は確かに多方面にわたっており,研究方法も多様であるが,現象に伴うパターンがフラクタル性を有するという点で相互に密接な関連があると思われる。このように個別性と共通性を持つ種々の問題を1ケ所で集中的に議論できるという点にこそこういった研究会を実行する最大の意議があると言えよう。
以上のような問題に興味を抱く実験・理論・計算機関係の研究者が一堂に会して討議できる機会を持てたことに対し統計数理研究所に深く感謝するとともに,この研究会を今回限りにすることなく今後とも継続したいというのが多くの参加者の強い希望でもあった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上羽 牧夫

東北大学

太田 正之輔

九州大学

大月 俊也

福井大学

川村 光

大阪大学

佐藤 信一

静岡大学

種村 正美

統計数理研究所

豊木 博泰

山梨大学

長谷 隆

静岡大学

早川 美徳

東北大学大学院

本庄 春雄

九州大学

本田 勝也

名古屋大学

宮島 佐介

中部大学