平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−78

専門分類

8

研究課題名

“自然体験”による教育効果に関する国際比較の調査研究

フリガナ

代表者氏名

スズキ ギイチロウ

鈴木 義一郎

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

日本の子供の自然体験の状況を,20ケ国以上の諸外国との対比において把えることによって,自然体験が子供に与える“教育効果”を浮き彫りにする。さらに自然破壊の状況をも把握することによって,リソース・テクノロジーの研究の緊要性を訴えたい。


人口の都市集中化・自然破壊・学歴偏重の風潮など、日本の子供たちにとって、現在の社会状況は必ずしも健全であるとはいい難い。特に都会地周辺の児童にとって、自然体験の希薄さが家庭や学校内での暴力の一因にになっているとも考えられる。
本研究の最初は、国立那須甲子少年自然の家を利用した児童を対象に行ったアンケート調査結果を、統計的に分析することであった(当初の研究代表者は故千野貞子)。その後、外国との比較を目的として、台湾の子供に関する調査を行い、風土にはそう関係しないのに、海水浴や虫刺されの体験が台湾では異常に少ないことなどが明らかになった。
そこで、他の国々についても同様の調査を試みてみようということで、イギリス、アメリカ合衆国といった先進国から、ペルー、ブータンなどの後進国までの10ケ国の子供について、予備調査を行った。調査対象国や対象児童については、網羅的でもなければ無作為抽出でもないが(研究グループの一員である服部千秋の友人達の協力による)、総じて先進国の児童の方が自然体験も豊富であるとの事実が明らかになった。
また、自然体験に関する行動力の男女間での違いが、国によってかなり様変わりするといった事実も認められた。さらに、調査した全ての国について同じようなカテゴリーに回答が集中している質問や、その国の風土などから当然、両極化してしまうような質問なども散見された。今後は、質問群を精選し、より完全な標本設計のもとに、国際比較のための調査研究を進める計画である。なお、今回の予備調査の結果の概要についても、簡単な報告書をまとめておく予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

千野貞子 少年の日常生活における自然とのかかわり「統計数理研究所 研究リポート66」1988
千野貞子“自然体験”による子供の心の教育効果に関する統計的研究「統計数理研究所 研究リポート67」1989
鈴木義一郎“自然体験”による教育効果に関する国際比較の調査研究「統計数理研究所 共同研究リポート」(発表予定)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

人口の都市集中化・自然破壊・学歴偏重の風潮など,日本の子供たちにとって,現在の社会状況は必ずしも健全であるとは云い難い。特に大都市周辺の児童にとって自然体験の希薄さが,家庭や学校内での暴力などの一因にもなっていると考えられる。そこで,自然環境の異なる諸外国での児童の自然体験の状況と対比させてみることによって,この種の予想の信憑性が明らかになるものと期待できる。このような社会現象に対する調査データの「潜在構造」を,統計数理的な研究方法を用いて明らかにするとともに,自然破壊の一端をも垣間みることができる。統計数理研究所の研究の適用分野を広めると共に,理論面での研究にも寄与することが期待できる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北野 利雄

仙台工業高等学校

澤田 利夫

国立教育研究所

南条 善治

東北学院大学

服部 千秋

兵庫県立明石西高等学校

吉田 裕亮

お茶の水女子大学