平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2014

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

5

研究課題名

海岸工学における非線形回帰モデリングの研究

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ ナガトモ

中村 永友

ローマ字

Nakamura Nagatomo

所属機関

札幌学院大学

所属部局

経済学部 経済学科

職  名

教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

1 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

1.焦点をもつ線形回帰モデル
 海岸工学の分野において取得される様々なデータには統計的モデリングを適用することで,解決できると考えられる問題が多数存在する.例えば変化点問題,微分方程式の解をモデルとするパラメータ構造が非常に複雑な非線形回帰の問題等である.その中でも以下の課題を中心に研究を行う.
 ある定点(焦点)を通る回帰直線群に関する統計モデルとその周辺問題の研究を行う.このモデルの背景は,一定条件下で観測される風速データセット群があり,各セットには回帰直線が想定され,直線群が1点で交わる(焦点をもつ)という事実による.焦点の存在は乱流理論に基づき証明できるが,焦点自体を求める方法論がこれまでなかった.これは永年の未解決問題で,統計モデルではじめて焦点を正確に求めることができた(中村・土屋,2007).また焦点の物理的な解釈の定説がなく,焦点を正確に求めることができれば,その解釈にも一定の寄与をするものである(以下,この焦点をもつ回帰直線群のモデルを焦点回帰モデルと呼ぶ).
 焦点回帰モデルの最も単純な形式は,推定の必要がある定点を通るという条件付線形回帰モデルの混合で,形式的には焦点を求めることができる.しかし本来は様々な風速を呈するため,風速分布を考慮して焦点を求める必要がある.これによって,例えば風速分布を離散化して各直線への重み付けや,風速分布を用いてベイズ的に事前情報を各直線に渡す等のモデルの精密化ができる.

2.定点を通る線形回帰モデルの族への組織化
 一方,定点を通る線形回帰モデルの族を考えると,焦点回帰モデルや原点を通る回帰直線(以下,原点回帰モデル)等がこの族に含まれ,一つのモデル族として組織化できる.しかしこの族の好ましくない特異な性質として,回帰直線が必ずしもデータの重心を通過しないこと,決定係数がほぼ1に近い値になるため適合度指標として使うには注意が必要である等が挙げられる.
 このように焦点回帰モデルの精密化,線形回帰モデルの族への組織化を行い,同時に基本的な性質を満たさないことに対して,様々な理論的整合性をとることが本研究課題である.

3.研究成果
 モデル構築については,新たなモデリングとして(準)ベイスモデル化を行った.パラメータ間に相関関係のありそうな部分に事前分布の導入した.まとまった成果を現在投稿中である.

4.その他
 研究所にて共同研究者との打合せが1回,その他の場所(学会開催地など)で2回ほどの打合せを行った.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 平成22年度の本研究に関する学会発表はない.
 論文としてすでに2件公表済み2件,投稿中1本である.

[論文]
[1] 中村永友,土屋高宏(2007)焦点をもつ回帰直線群の推定とその周辺,応用統計学,Vol.36,No.1,31-50,2007.
[2] 中村永友,土屋高宏(2007). 焦点回帰モデルの精確推定,札幌学院大学商経論集,Vol.24, No.1, 55-66. 2007.9.
[3] A Focal Point Regression Model, submitted

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関