平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−2

専門分類

1

研究課題名

信頼性理論に関連した分布の特徴づけと多変量化

フリガナ

代表者氏名

ヤマグチ ミツヨ

山口 光代

ローマ字

所属機関

福井大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

数理統計学で分布論を展開する場合,正規分布を出発点とすることが多いが,信頼性では,正の値をとるゆがんだ分布が用いられる。この研究では,信頼性理論に関連した,指数分布,ガンマ分布,対数正規分布や,極値分布の性質を調べて体系的な特徴づけを行なうことを目的とする。


昨年の共同研究においては、それぞれの研究課題における統計量の分布に関して、漸近論の立場からの考察を中心におこないました。特に、清水先生の確率論的発想から出発し、困ったら常に確率そのものに立ち返るという論議の進めかたは、そのような、きちっとした筋道をなるべく避けて、直感的な説明からの方法を探ろうとしがちであった高橋氏と山口にとっては、原点に帰ることの大切さを再認識させられました。この経験にたって、高橋氏と山口は、本年度、それぞれの研究を個別に進めてきました。そして二月末に、高橋氏、山口の二人は、貴研究所へ出張し、清水先生と三人で討論をおこないました。同時に、貴研究所の図書館で資料収集をおこないました。さらに山口は、三月半ばにもう一度出張し、最初の共同研究の際にいきずまった問題点にかんして清水先生の示唆を仰ぎました。このような経過を経て、三人の研究成果は次のようになります。
清水先生:P次元正規分布 N(0.1)に従う確率変数Zとそれに独立な正値確率行列Σに対する尺度混合の確率行列X=Σ1/2Zの確率密度関数を考察した。これは、これまで研究してきたテーマでの多変量化への拡張を試みるものである。この確率密度関数をP次元正規分布の確率密度関数の周りで展開した式を与えた。さらに、展開式の誤差限界をΣの積率を用いて表現した。
高橋氏:多変量極値統計量のベクトル成分に関しての考察を行っている。現在は、成分毎の最大値を考えるBARNETT流の多変量極値統計量に関心を払っている。このベクトル成分が漸近的に独立であるための必要十分条件、および、完全従属であるための必要十分条件を示した。これに関しては、多くの研究があるが、ここで示した必要十分条件は、非常に簡潔な形であるので有用な結果と思われる。
山口:ANDERSON流の予測的な判別において、その判別統計量の外距離の分布に関しての考察を行っている。異なる分散・共分散をもつ二つの正規母集団における場合、この外距離の漸近分布を、積率母関数の形で表現をした。また、この判別統計量を独立な確率変数で表すことにより、正しく判別される確率を考察しているが、一変量の時には求めた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

R.Shimizu : Asymptotic Expansion for the Density of the Scale Mixtures of the Multivariate Normal Distribution.(発売予定)
R.Takahashi : Asymptotic Independence and Perfect Dependence of Vector Components of Multivariate Extreme Statistics. (発売予定)

高輪倫也、極値理論とその応用、応用統計学会 '92.4.25

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成2年度の共同研究で,清水,山口,高橋は,それぞれ,乱数の数理的研究,尤度に基づく距離関数の漸近的な性質,極値分布族の特徴づけという中心課題を設けて,研究をすすめる端緒に着いた。この研究を続けて,指数分布,ガンマ分布,極値分布の性質を調べて,これらの分布の特徴づけを行なうことに発展させたい。そのために,文献資料がそろい,色々な分野の統計研究家が豊富にそろい,かつ,計算機環境が整っている。統計数理研究所での共同研究を続けられることは最善である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

清水 良一

統計数理研究所

高橋 倫也

神戸商船大学