平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−66

専門分類

7

研究課題名

類洞の立体構造に影響を及ぼす肝細胞の面の数−その統計的解析

フリガナ

代表者氏名

シミズ ヒデオ

清水 英男

ローマ字

所属機関

順天堂大学

所属部局

医学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

正常肝と肝硬変における個々の肝細胞の面の数の分布、肝細胞の類洞に接する面の数を求める。その結果に基づき、コンピュータを用いた空間の多面体分割モデルにおいて、多面体の面に添ってシミュレーションし類洞を立体構築する。シミュレーションの結果と、以前清水が類洞の立体構造について求めた結果とを照らし合わせることにより、両群間における類洞の立体構造の差を生じさせているメカニズムを解明しようとするものである。


研究代表者の清水は、正常肝臓と肝硬変の組織の厚さ1μmと2μmの切片を作成し、種々の染色法を行った。すなわち、ヘマトキシリン・エオジン染色、アザン・マロリー染色、過ヨー素酸メセナミン銀染色、トルイジン・ブルー染色、レクチン染色などである。その結果、トルイジン・ブルー染色が、肝細胞の細胞膜を最も良く描出することがわかった。
そこで連続切片(厚さ1μmと2μm)を作成し、それらにトルイジン・ブルー染色を行い、立体構築により個々の肝細胞の面の数を求めることを試みた。ところが、肝細胞の最大割面に近い部分の肝細胞同士の境界は容易に同定できるのに、両端に近づくにつれて細胞膜が斜め切りになるため、その境界が不鮮明となり、正確な面の数を求めることが困難となることがわかった。
それゆえ、より良い染色法を追求すると同時に、平均的な肝細胞の面の数をモルフォメトリーにより求める方法を、目下研究しているところである。
一方共同研究者の種村は、観測された肝細胞の面数に対応する多面体分割モデルのシミュレーションを実行するための準備を行った。3次元の多面体モデルとしてボロノイ多面体を考え、多面体の辺および面がつくるネットワークの上でランダムウォークするモンテカルロ・シミュレーションの計算プログラムを作成した。
今後は、上記の観測値が得られたとき、それに対応する確率モデルを構築して、シミュレーションを実行することが課題である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

肝の小葉内では、肝細胞と類洞(微小血管網)の二者により空間が充填されている。清水はトポロジーの指標を用いて、ヒトの正常肝と肝硬変の類洞の立体構造の違いを求めてきた。今回はその類洞の立体構造の差を生じさせていると考えられる、個々の肝細胞の面の数・類洞に接する面の数の分布を清水が電子顕微鏡用の連続切片から計測する。一方、種村はコンピュータを用いた空間の多面体分割モデルについて、その面上をランダムウォークするシミュレーション・プログラムを作成する。清水が求めた結果をもとに、そのプログラムでシミュレーションを行うことにより、ヒトの正常肝と肝硬変の類洞の立体構造の差を形成するメカニズムを解明しようとするものである。そのためには統計数理研究所との共同研究が必要かくべからざるものである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所