昭和63（1988）年度　共同研究集会実施報告書

課題番号	63−共研−50			専門分類		5
研究課題名	乱流の統計理論とその応用
フリガナ 代表者氏名	オカザキ　タカシ 岡崎　卓			ローマ字
所属機関	統計数理研究所
所属部局	統計科学情報センター
職　　名	教授
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	48　人

研究目的と成果（経過）の概要

流体の不規則現象である乱流は，流体の存する所に普遍的に見られる現象である。それ故乱流は流体力学にとどまらず地球物理学や環境科学など広範な分野に関連を有し，また電磁流体発電や核融合炉の定常運転をはじめ各種の応用における成否の鍵を握っており，乱流の理論的解明と応用に伴う諸問題の解決は理工学上の重要課題である。
不規則性の原因を探る統計理論的側面から乱流理論の進展と応用の成功に寄与するには統計数理研究所を拠点として広い分野の研究者間の研究交流を行うことが望ましく，ここに共同研究会の開催を申請する所似である。


統計理論に基づく乱流の基本法則の解明とその応用の観点から次の１４講演を中心に研究討論を行なった。
（１）岩津玲磨・石井克也：三次元キャビティ内の流れのレイノルズ数依存性
（２）富山／泰伸：Ｋｏｌｍｏｇｏｒｏｖ定数のＲｅｙｎｏｌｄｓ数依存性
（３）柳瀬真一郎・水島二郎・木田重雄：ＭＨＤ乱流における渦場と磁場の空間的構造
（４）佐々真一：一次元乱流の記述の縮約
（５）高木隆司・種村正美：渦の配置についての尤度解析
（６）岡〓卓：乱流およびブラウン運動の射影子法による定式化
（７）後藤俊幸：乱流の相対拡散について
（８）神部勉・〓沢徴：最近の乱流研究
（９）松下貢：自然界のランダムパターン
（１０）甲斐昌一：化学反応と流体構造
（１１）本田勝也：マルチフラクタル集合におけるｆ（α）−αの定化の一般化
（１２）山田道夫・大木谷耕司：乱流のカオティックカスケードモデル
（１３）山田章一：超新星爆発の数値シミュレーション
（１４）浦田一宏・羽鳥尹承：テアリングモードの非線型結合における電流密度のダイナミックス
以上の講演と討論によって
（１）計算機による乱流研究が着実に進展しつつあるが，今後は更に大規模精密計算のための数値アルゴリズムの開発が必要である
（２）近似理論には目覚しい進歩が見られず，新手法の提案が望まれる
（３）化学反応，星の形成，磁気流体発電，カオス等多くの分野で乱流が関係し，流体運動と他の力学的機構の相互作用を一段と詳細に解明する必要がある
ことを確認した。
本研究会の開催により広汎な分野に亘る乱流研究を緻密に理解する機会が得られ，参加各員の研究遂行に資する所大であったが，特に今年度は旅費の増額により流体力学以外の分野から講演者を招聘することができ，従来の流体力学的視点と異なる思考方法が示唆されたことは大きな収穫であった。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

本研究会の内容は統計数理研究所「統計数理」および日本流体力学会「ながれ」誌上に要約報告される予定であり，また各発表講演はより整備された形で物理学，天文学，化学等の関連学協会誌に公表されるものと考えられる。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
石井　克哉	名古屋大学
入江 治行	日本大学
岩津 玲磨	計算流体力学研究所
浦田 一宏	名古屋大学
大木谷　耕司	京都大学
大嶋　洋	東邦大学
甲斐　昌一	九州大学
金田　行雄	名古屋大学
河村 哲也	千葉大学
神部　勉	東京大学
木田　重雄	核融合科学研究所
木村 芳文	名古屋大学
草野　完也	広島大学
桑原　真二	帝京技術科学大学
後藤　俊幸	名古屋工業大学
斉藤　善雄	東邦大学
佐々　真一	京都大学
佐藤　哲也	核融合科学研究所
真田　勉	日本シンキングマシーンズ
三宮　公江	東京農工大学
下村　裕	慶應義塾大学
高木　隆司	東京農工大学
竹田　宏	リクルートＩＳＲ
竹光　信正	東京大学
田中　航二	大阪商業大学
種村　正美	統計数理研究所
富山　泰伸	東京都立大学
中内　紀彦	東邦大学
中野　徹	中央大学
橋本　英典	法政大学
羽鳥　尹承	核融合科学研究所
半場　藤弘	東京大学
細川　巌	電気通信大学
堀内　潔	東京工業大学
堀畑　聡	豊橋技術科学大学
本田　勝也	名古屋大学
松下　貢	中央大学
水島　二郎	同志社大学
宮嵜　武	電気通信大学
村上　洋一	大阪府立大学
柳本　武美	統計数理研究所
柳瀬　眞一郎	岡山大学
山口　秀樹	日本大学大学院
山田　章一	東京大学
山田　道夫	東京大学
山本　稀義	航空宇宙技術研究所
吉沢　徴	東京大学