平成152003)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

15−共研−1006

専門分類

3

研究課題名

重症脳性麻痺児の脳波活動と脳幹下部網様体活動との相互応答

フリガナ

代表者氏名

オガワ テルユキ

小川 昭之

ローマ字

Ogawa Teruyuki

所属機関

大分医科大学

所属部局

医学部

職  名

名誉教授

所在地

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研究目的と成果(経過)の概要

[目的]重症脳性麻痺患者(以下重症CP患者)の中には、中枢性による呼吸障害から、ときとして喉頭切開
を必要とする重度呼吸障害を来たす場合がある。このことを早期に発見、治療するためには、自律神経機能の
定量的評価が必要である。そこで、我々は、脳波振幅変調(AM-EEG)の方法に従い(Novak.Pら、1997)、脳波
(EEG)、心拍(RR-I)、呼吸(RESP)の各「揺らぎ」から、3パラメータ間の相互応答システムを明らかにし、さ
らに重症CP患者の中枢機能の指標とすることを目的とした。[対象と方法]対象を常時呼吸困難を伴う重症
CP患者1名、軽症CP患者1名とした。これら対象例に国際電極配置10-20法を用いて、耳朶を不関電極とし
た単極電導出脳波記録を行い、サンプリング間隔20msecのA/D変換時系列を求めた。脳波導出部位はC3と
し、AM-EEGの方法に従って、脳波振幅変調波を求めた。すなわち、瞬時最大エントロピー法(IMEM)による瞬
時スペクトルから(瀧澤、石黒ら、1997)、2secごとに、θ、α帯域パワーを求め、それぞれ、サンプリング
間隔2secの脳波振幅変調波とした。[結果]これら時系列にAR解析を施すと、AM-EEG波では、0.02-0.03Hz、
0.06-0.07Hz、0.09-0.12Hzにスペクトルのピークが存在した。これは、同時サンプリングのRR-IやRESPの
リズムとほぼ一致した(Table.1,2)。また、RESPと一致する低周波数振幅変調のパワーは、重症CP患者のほ
うが軽症CP患者にくらべ、有意に低かった(Fig.1,2)。[考按と結論]以上より、AM-EEGは、自律神経機能の
指標となる有用な方法であると考えられた。また、このことは、CP患者が発達過程で、ときとして発症する
重症の呼吸障害の早期発見に役立つことがわかった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

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研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所