平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−44

専門分類

5

研究課題名

ニューラルネットワークシステムの動的な通信容量とその統計的応答特性

フリガナ

代表者氏名

ハラ ヒロアキ

原 啓明

ローマ字

所属機関

東北大学

所属部局

大学院情報科学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

従来の通信容量を拡張し、ニューラルネットワークシステムにたいするの動的な通信容量を提案する。また、この枠組みで、生体が行う複雑な情報処理システムの動的応答特性を具体的に解析する。


本研究は従来の情報理論における通信路容量をニューラルネットワークシステムの動的現象に適用可能な形式に拡張し、これを動的通信路容量として定式化する方法を具体的に示した。
まず、指数型の時間依存性を示す確率過程にたいして動的通信路容量の表式を与え、どのように通信路容量が一般化されるかを示した。 この動的通信路容量を形式ニューロン間の評価に適用して、シナプス結合部の応答特性を解析する。
指数型の時間依存性で表現された確率過程がさらに、スケーリング過程としてべき関数や、伸縮された指数型関数(STE) として一般化できることを明らかにした。 ここで、STE関数で表される確率過程はスケール因子規定されている。このスケール因子の物理的意味は一般化されたランダムウォークにおけるホッピング確率を導入することによって運動論的に解析された。
このホッピング確率は単位体積あたりのエネルギー密度関数に対するユークリッド次元とウォーカの運動可能な空間を規定するケージの分布で決まるクラスターフラクタル次元で決まる。
STE関数で表される確率過程は、複雑な系の動的現象の解析で重要な役割をする事が最近注目されてきている。 この意味でも、本研究で定式化した動的通信路容量は、これらの複雑な系を構成する要素間の動的特性の評価に対しても有効であろう。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

統計数理に投稿予定 (本研究の1部)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

構成要素の結合形態がフラクタル次元で規定された前回の共同研究で行ったニューラルネットワークを改めてマルチ・チャンネルのカスケード型の通信回路とみなせる形で定式化する。このシステムに動的通信容量を導入し、この動的な応答特性を統計的手法を援用し具体的に解析する。特に、この枠組みを海馬−皮質系の記憶システムとして適用し、海馬ニューロンの長期増強(LTP)の現象をモデル化する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小幡 常啓

群馬工業高等専門学校

田村 義保

統計数理研究所

舟山 邦男

東北大学