平成252013)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

25−共研−1021

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

4

研究課題名

複雑系のシミュレーションと統計理論

フリガナ

代表者氏名

カソノ カツミ

加園 克己

ローマ字

Kasono Katsumi

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

医学部医学科

職  名

講師

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

目的: 有限温度における液晶相や磁気相を、ある秩序状態から別
の秩序状態へと緩和させる非平衡緩和シミュレーションを行う.
これより,平衡状態における相転移点や転移点上の物理量を,計
算時間数に応じて,詳しく知る事ができる.申請した計画の一部
を,内容を少し変更し実行した.
 1次相転移の相転移点Ttにおいては,転移点の上下で秩序変数
の値が不連続となり,飛びを示す.2次元強磁性q状態(q>4)ポッ
ツ模型のTtにおける秩序変数の飛びはq依存性を示すが,正方格
子,三角格子,蜂の巣格子(Aグループ)で同一の値をとる.以上
が厳密解より分かっている.この1次転移特有の普遍性は他の二
次元格子においても成立するかもしれない.三角格子において格
子の縦横比の変化による依存性を確認する.次に,B格子(正方格
子に市松状に横相互作用を加えた),4-8格子,カゴメ格子(前々
年度に計算)を扱う.これら 3格子は,Aグループ内の相互変換と
同形の変換で互いに移り変わる.Bグループ内で転移点上の磁化
を求め,普遍性が存在するかどうか検証する.

経過と成果: 1次相転移を起こす10状態ポッツ模型において,単
独クラスタータイプのモンテカルロ法のみを行った.秩序相(濃
度c)-無秩序相(濃度1-c)のMPI初期条件を用いて,各格子の転移
点Ttと磁化を得た.三角格子の縦横比の変化において,計算誤差
の範囲で,計算結果は比に依存しない値であると確認できた.ま
た,Bグループ格子の転移点上の磁化の値は3つ全てで異なり,A
グループ各格子のそれとも一致しない.今の所,A格子グループ
のみが普遍性のグループをなす.カゴメ,ダイス(以上前々年度),
B格子,4-8の格子には,普遍性は見出されない.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

加園克己.一次相転移における飛び不連続量の普遍性の検証II
日本物理学会年会第69回年次大会.湘南,3月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小野 いく郎

東京工業大学

田村 義保

統計数理研究所