平成91997)年度 共同研究B実施報告書

 

課題番号

9−共研−4

専門分類

3

研究課題名

帯域制限された時系列の解析におけるブートストラップ法による誤差推定

フリガナ

代表者氏名

スダ ナオキ

須田 直樹

ローマ字

所属機関

名古屋大学

所属部局

大学院理学研究科

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

時系列解析においてブートストラップ法により誤差推定を行う際に、リサンプリングを時間領域ではなく周波数領域で行なうことが考えられる。これによって、帯域制限された時系列の解析においてもブートストラップ法による誤差推定が可能になる。本研究は、この方法の理論的基礎の確立と実際面への応用を目的として行う。


複雑な定式化を伴わない誤差解析法として、ブートストラップ法は近年様々な分野で応用されている。時系列モデルに対しては、間接的に推定されたランダム変動部分をi.i.d.と仮定して再サンプルを行ない、ブートストラップ標本を作成する方法が提案されている。
しかし、帯域制限された時系列の場合、この方法では再サンプルによって本来含まれないはずの周波数成分が発生する。そこで、本研究では時間領域ではなく周波数領域で再サンプルを行なう方法を考案した。ランダム変動部分をFFTで周波数領域に変換し、与えられた周波数帯域内でFFTのデータ点の再サンプルを行なう。
それを逆FFTで時間領域に変換してモデル部分と足し合わせることでブートストラップ標本を作成する。この方法では与えられた周波数帯域外の成分が発生することはない。
このようにして多数作成したブートストラップ標本を実際と同様の手続きで解析し、それぞれについてブートストラップ複製を求めて、標準誤差のブートストラップ推定値を求める。本研究ではこの方法の実際への適用として、(1) 地球自由振動モードの固有周波数と減衰係数の標準誤差、(2) 震源パラメータの標準誤差、の推定を行なった。その結果、適当と考えられる誤差の推定値を得ることができた。
この方法は、地震学で盛んに行なわれている波形インバージョンにおける誤差解析の方法として一般的に有効であると考えられる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

時系列解析におけるブートストラップ法による誤差推定では、多くの場合時間領域でリサンプリングして時系列のブートストラップ標本を作成している。しかし、帯域制限されている時系列の場合、この方法ではリサンプリングにより時系列に本来含まれないはずの周波数成分が発生するという問題がある。そこで本研究ではリサンプリングを時間領域ではなく周波数領域で行なうことを考える。周波数領域でのリサンプリングの理論的根拠や適用限界などを考察する際には、この方面に詳しい統計数理研究所の研究者と共同で研究を行うことが必要不可欠である。実際面への応用としては、地震波形や地殻変動データの解析における誤差推定を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

河野 英昭

九州大学

北川 源四郎

統計数理研究所

樋口 知之

統計数理研究所