平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−92

専門分類

7

研究課題名

植物育種における形態評価に関する数理統計的研究

フリガナ

代表者氏名

ヒラタ ユタカ

平田 豊

ローマ字

所属機関

東京農工大学

所属部局

農学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

植物の育種において有用形質、特に形態形質を有効に評価し、選抜することは困難である。本研究においては、すでに選抜育成している母本系統およびそれらから得られた接木雑種系統を用い、葉と草型を中心とする形態形質を客観的に評価し、選抜していくために基礎を明らかにする。


筆者は兼ねてから、植物の育種において重要な選抜指標である草型、側枝の形状、果実や種子の形態、さらに光合成をになう葉の形態物質について科学的な評価を行うべく、それらの分析法について種々検討を行ってきた。
本研究では、これらの内、葉形に注目し、我々が育成中である接木雑種系統とその両親であるヤツブサトウガラシおよび甘トウガラシをもちい、有効な方法を検討してみた。
これまで、グラフ用紙上に格子を作り、それを基に標準葉形を作成し、目的の形統品種間比較を行ってきた。確かにこの方法でも分析可能であるが、交雑後の多数個体や雑種集団を調べようとした場合には適していない。また、フラクタル次元を使って、葉の構造の複雑性を検定したが、有効ではなかった。
これは、トウガラシの葉の形態が、全縁形をしており、複雑性では検定できないためである。従って、葉の画像をスキャナで取り込み、それを直接解析できる方法を検討した。
その結果、これまで部分的にソバの種子の形態解析、ダイコンの形態解析で有効性が確かめられてきた“フーリエ楕円変換”を用いて葉の形の基本形について検討を行うこととした。まず、両親と接木雑種、さらにそれらの相反交雑 F1について予備的に検討したところ、3品種系統間で有意な差があることがわかった。
従って、現在これらの交雑後代を用いて、さらに遺伝的解析を行っている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Taller, J., Y. Hirata, M. Kita and C. Sugitani, 1997. Characterization of graft-induced genetic changes in pepper (Capsicum annuum L.) Proceedings of the 8th SABRAO General Congress and the Annual Meeting of the Korea Breeding Society. 169-170.
Taller, J., N. Yagishita and Y. Hirata, 1997. Practical use og graft-induced variants in breeding of peppter (Capsicum annuum L.) Proceedings of the 8th SABRAO General Congress and the Annual Meeting of the Korea Breeding Society.280-281.
Taller, J., Y. Hirata, N. Yagishita, M. Kita and N. Ogata, 1998. Graft-induced genetic changes and the inheritance of several characteristics in pepper (Capsicum annuum L.) Theor. Appl. Genet., 92 (in press)

Taller, J. 他、1997.接木雑種を用いた新しいトウガラシ品種の育成.日本育種学会第92回講演会(鳥取大学)、育種学雑誌、47(別2):264.
Taller,J.他、1997.トウラガラシにおける接木変異系統の遺伝解析 21.G5S35世代以降の諸形質の遺伝的特徴.日本育種学会第93回講演会(横浜市大)育種学雑誌、48(別1):250.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

トウガラシの接木変異系統はDNAから形態まで種々の形質において遺伝的変異が認められている。しかし、葉形や草型などの形態形質変異は客観的に評価する方法が確立していない。さらにこれら形態と遺伝子との関係も全く不明である。本研究ではこうした植物の遺伝・育種の基本となる変異形質、特に形態変異を最新の数理統計的方法を用い解析する。東京農工大ではこれらの材料の育成と圃場調査を行い、統計数理研究所では主として、これらの圃場データを評価・解析し、植物育種における形態選抜のモデルを作る。このためすでに半年余の議論を統数研田村と東京農工大平田の間ですすめて来ている。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所