平成111999)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

11−共研−2040

専門分類

6

研究課題名

宇宙天気予報のための数理工学的アプローチの萌芽的研究

フリガナ

代表者氏名

ヒグチ トモユキ

樋口 知之

ローマ字

Higuchi Tomoyuki

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

極域地方に特有の自然現象であるオーロラは,太陽風と地球固有(内部)磁場のダイナミックな相互
作用の結果,地球磁気圏に形成される大規模な電流系がひきおこす物理プロセスの一部分である。電
流が流れることによって生じる磁場変動を宇宙空間中で観測すれば,大規模電流系の構造を直接的
に推定することができるため,人工衛星の磁場データを解析した研究はこの20年来かなり精力的にな
されてきた。最近全く新しいタイプの電流系の存在が4例発見され,その解釈のため新しい相互作用
のモデルが仮説として提案されている。この4例しか見つかっていない新しいタイプの電流系は,実
はさまざまな偶然の物理条件が重なり合った結果の希な現象なのか,それとも今まで見過ごされてき
た実はごく普通に存在するものなのかを明らかにすることは、地球物理の観点から興味深い重要なテ
ーマである。そのため,低高度(周回時間が約100分程度)の極周り人工衛星の今までに蓄積された
超大量の磁場データを丹念に調べあげ,新しいタイプの電流系の発見するプロジェクトに取り組み始
めた。
この大規模電流系は,同じタイプの電流系であっても,その空間的位置や電流値は,時々刻々と変化
する太陽風の影響や日照条件(極域地方の太陽となす角度)の違いでかなり変動するため,電流系の
同定は非常に困難である。当然、従来知られているタイプの電流系も同様の時間・空間変動性を示す。
従って,電流系の空間的位置や電流値の可変性を容認しつつ,タイプ別に分類する柔軟な手法の開発
が必須である。電流系は経度方向にシート状の構造をもつので,もともと3次元の磁場データをうま
く座標変換を行うと,ある一成分のみに区分的に直線と近似できる空間系列となる変動磁場が表出し
てくる。これらの知見を数値的に表すために,主成分分析的なアイデアと,大規模電流系に関連する
3次元磁場データを適切かつ柔軟に表現できるモデルを組み合わせた新しい手法を開発した。超大量
のデータセット(最低でも,10ギガバイトはこえる)を取り扱うので,その手続き(アルゴリズム)
を完全自動化した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.T.Higuchi,and S.Ohtani,Automatic Identification of a Large-scale Field-aligned
Current Structures,to appear in Journal of Geophysical Research,2000.
2.S.Ohtani,and T.Higuchi,Four-Sheet Structures of Dayside Field-Aligned Currents:
Statistical Study,to appear in Journal of Geophysical Research,2000.
にまとめあげた。Acknowledgementsに本共同研究の支援をうけたことが明記されている。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

京都大学大学院

大谷 晋一

Johns Hopkins大学

河野 英昭

九州大学

Chi Pi-Jen

カリフォルニア大学ロサンジェルス校