平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−66

専門分類

7

研究課題名

担癌患者の免疫能把握に関する統計的研究 (特に消化器癌について)

フリガナ

代表者氏名

ヨシオ トシフミ

吉雄 敏文

ローマ字

所属機関

東邦大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

9 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

担癌患者は免疫能が低下するといわれている。免疫能についての研究は数多く行なわれているが,多項目の検討はあまりなされていない。術前・術後の検査結果を利用し多項目の臨床データに応用できる多次元解析法の手法を用いて,免疫機能のデータ構造を検討する。
またガン危険因子を究明する実証的研究も併せて行なう。


胃癌治癒切除例51例を対象とし,4群に分類し,術前,術後2週,1,3,6,12カ月で免疫パラメータを計測し手術侵襲によりどの様に推移するかを検討した。リンパ球数PHA,Con A,リンパ球幼若化反応,PPD,Su−PS皮内反応は術後2週で低下を示し,OKT4細胞比とOKT4/OKT8比はやや遅れて1〜3カ月で低値を示し,侵襲の大きかった群で回復が遅れた。さらに23例を対象とし,two colorを用いたリンパ球サブセットの解析を術前,術中,術後に行った。術中よりsuppressor T細胞の増加,helper T細胞とcytotoxic T細胞の減少を認め,これらは術式や進行度に応じて推移した。また胃癌48例に対し,教室のregimenに従い術前より免疫化学療法を施行しパラメーターを観察した。術後2週に各パラメーターの低下を認めたが,進行度や侵襲の軽い群ではPHA,Con A,リンパ球幼若化反応,PPD,Su−PS皮内反応において,1〜3カ月以降に術前値以上の上昇を認めた。
以上,実践的な臨床検査の多項目データを統計データ解析により分析し免疫機能のデータ構造を検討した。併せてガン危険因子の抽出に関して数量化理論を中心に質的データ解析を行ない,好結果を得た。
1.中村博志:直腸癌における肛門括約筋温存術後の排便機能に関する研究
−−数量化理論による考察−−
日本大腸肛門病会誌43:9−25,1990
第45回大腸肛門病学会総会学会賞受賞
2.加瀬肇:胃癌患者における手術侵襲の免疫学的影響とその対策
消化器外科学会雑誌24(7):1991掲載予定


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究の実施にあたっては,統計的解析法の開発は統計数理研究所の教官が担当し,実証的臨床データの計測・測定などは東邦大学医学部外科学第一講座の教官があたる。
1.担癌患者の臨床検査データの収集,データベース化をおこなう。
2.臨床データの多次元解析法および時系列分析などの統計解析法による分析。
以上,実践的な臨床検査の多項目データを統計データ解析により分析し免疫機能のデータ構造を検討する。併せてガン危険因子の抽出法に最適なデータ解析法の検討を行なう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

加瀬 肇

東邦大学

小林 一雄

東邦大学

駒澤 勉

統計数理研究所

中村 博志

東邦大学

花輪 茂樹

東邦大学

本田 亮一

東邦大学

安士 達夫

東邦大学

渡邊 聖

東邦大学