平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2049

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

2

研究課題名

組合せ最適化の統計科学への応用

フリガナ

代表者氏名

イケガミ アツコ

池上 敦子

ローマ字

Atsuko Ikegami

所属機関

成蹊大学

所属部局

理工学部情報科学科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

従来から研究を行ってきた, 医療介護におけるスケジューリングについては,これまでに構築した「モデル」「アルゴリズム」「支援システム開発」を見直し,アルゴリズム改善や新しいアルゴリズム構築を目指した.また,新しく検討する要素として,統計科学への組合せ最適化(整数計画)の応用を試みた.統計科学において起こる探索問題を,組合せ最適化問題と捉え,問題解決の支援となるような手法を提案することを目的に,問題の適切なモデル化とアルゴリズム構築の検討を行った.
本年度の成果としては,大きく以下の2点を報告する.
■訪問介護事業所における現場調査
16年度,17年度,18年度に引き続き,介護スタッフを抱える介護施設(立川至誠ホーム等)において,構築モデルの妥当性について,スタッフ(複数の勤務表作成担当者)にインタビュー等をおこなった.また,問題の拘束条件(問題の入力情報)として,1ヶ月に1度得られる需要情報(要求されるサービスの詳細)と供給情報(ヘルパー可能勤務時間の詳細)の他に,スタッフ間で利用されている携帯メール,メーリングリスト,連絡帳,伝言カードの内容等,日々変更される情報の流れ(情報の経路や情報の内容等)について調査分析を行った.勤務表作成支援システムを構築する際には,これらの情報を取り込める再スケジューリング機能を持つ必要があることや,条件変更に影響を受けにくい(条件変更を吸収しやすい)勤務表を提供できるアルゴリズムが必要であることがわかった.
■人工衛星データの解析における整数計画の応用
人工衛星から送られてくる圧縮されたデータを出来る限り正確に復元することを目指した.この問題を混合整数計画問題として定式化し,混合整数計画問題を解く汎用ソフトウェアで解くことを試みた結果,解ける問題がサイズの小さい問題に限られていたため,これまでの勤務表作成に利用してきた考え方(メタ戦略に基づく近似アルゴリズム)を,時間連続する200セットのデータに適用してみたところ,現実の状況を大まかではあるが復元することができた.今後は,これの精度を上げるため,統計的手法と整数計画の手法(メタ戦略も含む)をうまく組み合わせていく必要があると思われる.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Atsuko Ikegami, Aki Uno : "Bounds for staff size in home help staff scheduling", Journal of the Operations Research Society of Japan, Vol.50,No.4,pp.563-575,2007.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

土谷 隆

統計数理研究所