平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2058

分野分類

統計数理研究所内分野分類

h

主要研究分野分類

3

研究課題名

生物の個体群動態の統計解析と数理モデル化

フリガナ

代表者氏名

ナカギリ ナリユキ

中桐 斉之

ローマ字

Nakagiri Nariyuki

所属機関

兵庫県立大学

所属部局

環境人間学部 環境人間学科

職  名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は、生物個体群動態のデータ等から統計解析を用いてそのメカニズムを明らかにし、また、生物のモデルを構築し、その計算機シミュレーションを行うことによって、生物進化や適応問題および生態学の絶滅問題を数理解析的な手法で研究するものである。
今年度は、格子モデルによるシミュレーションを用いて、生態学の絶滅問題と生物の個体群動態と空間の関係について研究してきた。
1)モデル生態系を用いた絶滅問題の研究
 格子ロトカ・ボルテラ模型を用いて、生息地破壊による個体群動態への影響を研究した。生息地破壊の効果について、モデル生態系を用いて解析を行った。餌-捕食者の2種系に、生息地破壊の影響を与えていくとき、生息地が破壊されるときの面積による影響を考えたモデルを構築した。このモデルについてシミュレーションによる解析を行ったところ、分断化の影響が重要であることがわかった。次に、この結果を踏まえ、種数をn種まで拡張したモデルを構築し、研究をおこなった。その結果、系の種数nが奇数が偶数かによって、分断化の影響が異なってくることがわかった。(Ecological Informatics誌投稿中)
2)空間に着目した生物の個体群動態の研究
 生物多様性の保全に対し関心が高まっている中、個体群動態をモデルによって解析する研究は多々行われてきたが、捕食−被食関係と個体群動態について空間に着目した研究は、あまり行われてこなかった。そこで、空間の影響を調べるため、確率格子モデルを用いて研究を行った。数理モデルとシミュレーション実験による解析から、空間の効果が個体群動態へ影響をおよぼしていることが示唆された。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

中桐斉之, 格子確率モデルを用いた体サイズによる個体群動態への影響の解析:格子サイズを変化させたモデル, 第72回情報処理学会全国大会講演論文集, 第1分冊, p.297-298.

田中裕美、中桐斉之, 環境変動と体サイズが生物の個体群動態に与える影響, 第72回情報処理学会全国大会講演論文集, 第1分冊, p.401-402.

由田太一、中桐斉之、田中裕美、吉村仁、泰中啓一、最小生存可能個体数と絶滅:出会いによる出生を考慮した格子モデル、第19回数理生物学会大会、2009年9月

中桐斉之、体サイズを考慮した格子生態系における個体群動態と絶滅、第19回数理生物学会大会、2009年9月

田中裕美、中桐斉之、環境変動と体サイズが生物の個体群動態に与える影響、第72回情報処理学会全国大会、2010年3月

中桐斉之、格子確率モデルを用いた体サイズによる個体群動態への影響の解析:格子サイズを変化させたモデル、第72回情報処理学会全国大会、2010年3月

中桐斉之、モデル生態系における体サイズを考慮した個体群動態:捕食における空間の効果、生態学会第56回大会、2010年3月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

志村 隆彰

統計数理研究所

田中 裕美

兵庫県立大学

南 美穂子

統計数理研究所

吉村 仁

静岡大学