昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−97

専門分類

8

研究課題名

社会調査における要因構造分析−特に地域社会における参与行動・意識に関して−

フリガナ

代表者氏名

タカクラ セツコ

高倉 節子

ローマ字

所属機関

東京国際大学

所属部局

人間社会学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

社会調査における目的変数(特にコミュニティ(地域社会)への参与行動・意識)に対し,人々の属性及び種々の意識パタンの中から,強い関連をもつ要因を選出し,目的変数の行動・意識の基盤となる要因構造を明らかにする方法を探究する。そして,多くの研究者によってなされている種々の調査から得られている情報を比較し,活用する方法を構築していく。


当初,地域社会における参与行動意識に関しての調査データについて,要因構造分析を行なう予定であったが,“老人の精神的健康に関する調査”についての分析を進める必要があったので,このデータに関して要因検索の方法の研究を行なった。
プログラムCATDAPを用い,目的変数(老人性痴呆の疑いの有無)に対し,説明変数(意識調査による13項目)による多重分類の次数が何次のもので,どのような変数の組合せが最適かを,AICの規準により析出した。サンプルの抽出の際の層(予備テスト結果により分類した3群)別に算出した結果,2変数の組合せが最適であり,1変数のみでも,AICは,かなり小さい値が得られることが解った。AIC規準により上位に並ぶ説明変数の組合せを見ると,サンプルの抽出群別の特性が明らかに示された。
尚,これらの説明変数に,目的変数をも加え,数量化3類を適用し,第1根,第2根に見合う項目・カテゴリーに与えられた数値を図示してみると,AIC規準により上位に並ぶ2変数の組合せは,3類によるカテゴリー値を結ぶ線が,比較的長く,ほぼ直交しているような変数の組合せが選ばれていることが見られた。即ち,AIC規準による変数選択を行なうと,目的変数に対し有効であり,且つ説明変数が相互に独立性の強いものが選ばれているということが明らかに理解された。
しかし,CATDAPによる変数選択は,多重分類による説明変数の選び方であり,サンプル数の少ない時は殆ど二重分類に留まるものとみられ,今後,多重分類を加味した一次結合を行なった際の最適な変数選択をAIC規準により析出する方法を検討したいと考える。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

第16回日本行動計量学会大会(1988年8月)にて発表
“有効要因の選択方法−要因項目の関係性を考慮して−”(高倉節子)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

既に得られている調査結果のデータに,プログラムCATDAPを適用し,コミュニティへの参与の積極性の基盤となる規定要因を析出し,今迄に行なってきた分析により想定された有効要因と照合し,分析方法による析出結果の差異を明らかにする。これを踏まえ,この種のデータについての要因検索に適当である方法(可能な限りの計算量の縮少等)を探究し,他の地域調査のデータに適用し,その妥当性を調ベると共に,調査の基準化の方法を探っていく。
方法の探究には,貴研究所教官の指導・協力が必要であり,かつ,プログラムCATDAPの適用を始め,AICの計算による要因検索は,計算量が大なるため,大型計算機の使用が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

坂元 慶行

統計数理研究所

鈴木 達三

帝京平成大学