平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−13

専門分類

1

研究課題名

相対エントロピーと偏相関係数

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヒロアキ

吉田 裕亮

ローマ字

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

この研究では,確率空間の非可換への拡張にあたる有限型フォン・ノイマン環における相対エントロピーの持つ意味をより明確にすることを目的とする。具体的には包含関係のない部分環同志の位置関係を記述する量としての相対エントロピーと多変量解析における偏相関係数の関係を調べたい。


本共同研究においては非可換解析におけるエントロピーに関して研究討議を行った。非可換解析における本研究の対象は測度空間(特に有限測度を持つ場合、すなわち確率空間)の非可換版、数理物理的な視点で見れば量子化された測度空間を扱うことになる。これらは作用素環と呼ばれる。我々がフォン・ノイマン環と言う作用素環を中心に扱った。部分空間に対応する部分環を考え、それと元の環との間の相対エントロピーを計算することにより、その部分環の元の環での位置関係を把握しようと言うものである。そのためにも部分環の性質を調べることを中心とした研究討議を共同研究者の方々に集まって頂き行った。その結果以下の様なことが明らかになった。
フォン・ノイマン環が有限型と限らなくても半有限型の場合にも拡張される。更に条件付き期待値写像の存在性を仮定し、ある条件(この条件はそれほど強いものではない。実際、有用な例はこの条件を満たす)の下では無限型の場合にまでも拡張可能である。
有限型因子環でジョーンズの指数理論との関係を調べる上では有限次元環の増大列の近似で与えられる因子環が重要である。したがって有限次元の場合に厳密に計算し、その極限として考える手法も有益である。この場合グラフ理論など組み合わせ論的考察も必要となってくる。この点で平成4年度はグラフの上のランダムウォークに関する共同研究を計画している。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成2年度までに包含関係のある場合の相対エントロピーの性質および包含関係がない場合の部分環の位置関係に示す量としての角度(研究分担者により導入されている)についての基本的な性質は研究された。3年度ではさらに偏相関係数とこの角度の関係を調べることを行いたい。これら関連分野の研究者が集まって共同の研究討議を行うためにも統計数理研究所での共同研究が必要である。また統計数理の基礎的な研究にも貢献すると思われる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

榎本 雅俊

甲子園大学

梶原 毅

岡山大学

河上 哲

奈良教育大学

渚 勝

千葉大学

綿谷 安男

北海道大学