平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−76

専門分類

7

研究課題名

ヒトの発育の時系列解析

フリガナ

代表者氏名

トウゴウ マサミ

東郷 正美

ローマ字

所属機関

神戸大学

所属部局

発達科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

発育を時系列解析で研究するのが目的である。従来の発育学では年1回のデータに発育曲線のあてはめを行ってきたため、時系列解析による研究は稀である。我々は発育の月次データをセンサス局法で解析してきたが、貴研究所の北川教授が作成された DECOMPが発育波動の解析に有効であったのでさらに研究を進めたい。1日2回測定のデータも解析を試みる。


発育は時間とともに変わる現象であるから、ヒトの発育は時系列解析で解明されなくてはならない。しかしそのような研究は今のところ日本において行われているのみである。
1971年以来現在まで継続して同胞5 人の身長・体重を毎月測定した20年余に亘るデータ、および1日2回、起床後と就寝前、一組の姉妹とその母親を5年間継続測定したデータについて、統計数理研究所で作成された非定常時系列解析プログラムDECOMPを用いて解析した。
【結果と考察】 1.発育は滑らかに進行するという従来よりの定説に反して、トレンドに波動が現れた。しかしその波動は、DECOMPによってAR過程を分離すると消える。AICを参照しつつARの次数を変えていくと、身長・体重とも次数1、2または3のときAICは最小となった。AR過程として把握されたものの意味は今だ検討中である。
2.毎月測定の身長・体重値からは、明確な季節変動が分離された。
3.1日2回の測定値は朝と夜の測定値毎に解析されたが、いずれも7日の週変動が観察された。しかも、子供の身長・体重は週末に増加するが、さらに週半ばにも増加することが示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Kobayashi, M., Kitagawa, G., and Togo, M. TIME-SERIES ANALYSIS OF STATURE AND BODY WEIGHT MEASURED TWICE-DAILY IN TWO GIRLS USING THE AR PROCESS DETECTING PROGRAM "DECOMP". Auxology '94 : Humanbiol. Budapest. 25: 983-991, 1995.(in printing)

Togo, M., Kobayashi, M., and Togo, T. TIME-SERIES ANALYSIS OF SKINFOLD THICKNESS, BISACROMIAL, BISILIAC, BITROCHANTIC DIAMETERS OBSERVED MONTHLY FOR A LONG TIME IN FIVE SIBLINGS. The 7th International Congress of Auxology, 26-30 June, 1994.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1)1971年から測定した5人の同胞の身長と体重の月次データをDECOMPで解析する。分離されたAR過程が示す波動を生物学的にいかに理解するかは困難な問題ではあるが、その手がかりを得られれば幸いである。2)測定開始時には小児であった上記の5人の被検者はすでに成人であり、発育期から成人への移行の姿を把握する。3)上記とは別個に朝晩1日2回の測定が行われている。これも時系列解析を行うべく、どのような手法を選ぶか検討中である。今年度さらに研究を進めていく。以上はいずれも前例のない試みであり、貴研究所の時系列解析の専門家との共同研究ではじめて実りあるものになると期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所

小林 正子

国立公衆衛生院