平成20(2008)年度 重点型研究実施報告書
| 課題番号 | 20−共研−4406 | 分野分類 | 統計数理研究所内分野分類 | a | ||||||
| 主要研究分野分類 | 3 | |||||||||
| 研究課題名 | 北方森林生態系における植生定着サイトとしての倒木の機能評価 | |||||||||
| 重点テーマ | フィールド生態学と統計数理 | |||||||||
| フリガナ 代表者氏名 | ヨシダ トシヤ 吉田 俊也 | ローマ字 | YOSHIDA Toshiya | |||||||
| 所属機関 | 北海道大学 | |||||||||
| 所属部局 | 北方生物圏フィールド科学センター | |||||||||
| 職 名 | 助教 | |||||||||
| 配分経費 | 研究費 | 40千円 | 旅 費 | 107千円 | 研究参加者数 | 6 人 | ||||
| 研究目的と成果(経過)の概要 | 
| 倒木・枯死木は、多様な動植物種のハビタットとして機能する、生態系の重要な構成要素である。とくに北方の天然性林においては、倒木や根返りが樹木実生の定着サイトになることから、森林全体の動態にも大きく寄与する構造である。このような倒木の機能については既存研究も数多く、よく理解されている。しかし、倒木上における植生の定着は、倒木の腐朽にともなって生じる遅々とした過程であるにも関わらず、従来は長期的な観測データが欠けていた。また、倒木は、空間的に不均質に生じる構造であり、その機能も、森林内の構造や地形などの局所的な影響をとおして、ばらつきが大きいことが予測される。しかしこのような不均質性を、空間統計学的な手法で解析した研究は限られている。本申請課題においては、倒木の発生に関わる空間的な特性の評価、および倒木の植生定着サイトとしての機能の評価を、重点テーマ「フィールド生態学と統計数理」の目的に沿って、従来の経験的・定性的評価から前進させることを試みた。具体的には、北海道の天然性林を対象として、既存データと新規の野外調査の結果をもとに、森林内の空間的な不均質性と関連付けた解析を行なった。まず、大規模台風時の風倒の発生率を形態(幹折れ、根返り)別に主要な樹種について示し(Yoshida and Noguchi 2009)、加えて個体ごとの風倒発生率に寄与する要因を明らかにした(Yoshida et al. in prep.)。植生の定着に関しては、およそ20年前に得られた詳細な倒木上の稚樹個体群を再計測した結果、樹木実生の定着に果たす倒木の機能は時間的な変動がきわめて大きいことを示した。また、2004年の台風によって生じた倒木を対象とした調査で、根返り部に多数の多数の新規植生が定着していることを確認したが、その密度や動態は、周辺に残存する立木のもたらす光環境や水分環境に影響され、その不均質性が定着する種組成に強く影響していることを明らかにした(Yoshida and Harada, in prep.)。研究代表者らは、これらの成果を個別に公表する一方で、得られた新たな知見が広く森林の生態学的資源管理の基礎になることことから、北海道における天然林の管理手法について関連するいくつかの論考を行なった(吉田・野口2008など)。 | 
| 当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等) | 
| 論文 | 
| 研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。 | 
| 下記の研究会を主催し成果の一部を発表した。 | 
| 研究参加者一覧 | |
| 氏名 | 所属機関 | 
| 飯島 勇人 | 北海道大学 | 
| 上野 直人 | 東北大学 | 
| 島谷 健一郎 | 統計数理研究所 | 
| 富田 基史 | 東北大学 | 
| 藤井 新次郎 | 九州大学 |