昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−11

専門分類

1

研究課題名

事前情報を用いた離散型モデルの解析

フリガナ

代表者氏名

アンラク カズオ

安楽 和夫

ローマ字

所属機関

西南学院大学

所属部局

文学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

用量・反応実験においては,反応確率を試薬の投与量の単調関数とみなし,この情報を取り入れた統計方法が盛んに研究されている。またこのような情報が仮定されるデータは極めて広範にわたっている。我々は離散データの場合に,このような事前情報を取り入れた統計手法の有効性を明らかにすべく,解析的あるいは数値的評価の研究を行なう。


順序カテゴリカルデータの解析において,カテゴリー間に順序傾向がある場合の推測について共同研究を行った。
順序カテゴリカルデータは名目変数の場合と異なり,その実現値の間に何らかの順序傾向が想定できる場合が少なくない。このような順序傾向を検定する問題について,ウィルコクソン検定のような順位検定や尤度比検定,あるいは累積〓検定等が考えられるが,本研究では特に,順位に基づく検定にウェイトを置いて,研究を進めた。
いくつかの検定問題においては,ウィルコクソン,あるいはMann−Whitney統計量は観測値の重み付き線形和として表せる。このことより,線形和統計量に基づく検定のクラスの中で,最適なものとして,最近迫検定が考えられる。2元正方分割表の周辺同等性の検定について,ウィルコクソン検定,最近迫線形和検定およびワルド型の検定の効率をシミュレーションにより比較した。分布として,背景に,2変量正規分布,2変量ガンマ分布がある場合を考えた。シミュレーションの結果,全般にウィルコクソン検定,最近迫線形和検定がワルド型の検定よりも常に高い検出力を示した。ウィルコクソン検定と最近迫線形和検定についてはほぼ同様の検出力だったが,後者がやや高い検出力を示した。
他方,累積〓統計量も自由度1の独立〓統計量の重み付き和として表せるので,その重みについても,適当な基準を用いることにより,最適なものを選べるかもしれない。これについては今後の研究課題としたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Anraku,K.(1988).On contrast tests for marginal homogeneity of a square table under restricted alternatives, Research Memo andum No.360 The Institute of Statistical Mathematics.
Shiraishi,T.(1989).Multivariate multi−sample rank tests for location−scale alternatives,Commun.Statist.Theory Meth.18,85−105.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

一般に,離散データの確率モデルを明確に規定できる場合は少ないと思われるが,事前情報を推論に有効に反映するために,積極的にパラメトリックな手法が用いられる場合が多い。
実際,反応曲線ではロジットモデルやプロビットモデル等に基づく手法が従来提案されてきた。これに対して近年,モデルを特定しない,セミパラメトリックあるいはノンパラメトリックな手法が研究され,注目を集めている。我々はこのような手法の解析的評価あるいは数値的評価について研究を行なう。解析的な面については相互の連絡を密にして進めるが,数値的評価,特に計算機運用を必要とするものについては当研究所において行なう。なおかかる研究の重要性から,この方面の研究に貢献できるよう,当研究所の共同研究として実施したい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

白石 高章

筑波大学

柳本 武美

統計数理研究所