平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2013

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

多種類の遠隔観測データを用いた電離圏電子密度トモグラフィー

フリガナ

代表者氏名

ウエノ ゲンタ

上野 玄太

ローマ字

Genta Ueno

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 電波および光を用いた多種類の遠隔観測によって得られる積分量から、電離圏内の電子密度の3次元分布とその時間発展をトモグラフィにより推定する事を目的としている。
 高度100km から1,000kmにかけて広がる電離圏における電子密度の観測には、直接観測と遠隔観測がある。直接観測はロケットと人工衛星によって行われているが、数が少ないため、その観測の範囲は非常に限定されている。また、遠隔観測ではMUレーダーなどのIncoherent Scatterレーダーによって電子密度の測定がされているが、大出力を必要とするため、全世界でも数地点において断続的な観測が行われているに過ぎない。同様にアイオノゾンデと呼ばれるレーダーでも電子密度の測定が可能であるが、観測高度が高度400km以下に限られており、またこちらも観測点が少ない。
 これらの観測に対して、電子密度ではなく、その積分量を測定する遠隔観測は比較的容易であるため、様々な観測手法で大量の観測データが取得されつつある。地上に設置されたGPS受信機によるデータはGPS衛星の軌道が高度20,000kmと高いため、視線方向が限定されており、詳細な高度方向の情報を取り出すのに適していないが、開発した拘束付き最小自乗法を用いたアルゴリズムによるトモグラフィを用いる事により、日本上空の3次元電子密度を求める事が出来た。
 さらに、開発されたアルゴリズムを、北アメリカの地上GPS受信機網のデータに応用して、より広範囲での3次元電子密度分布を得ることが出来た。また、MUレーダーによる遠隔観測データのトモグラフィへの利用と、低軌道人工衛星に搭載されている掩蔽観測用GPS受信機データとの比較を行った。
 異なる種類のデータを取り込む際の誤差の評価方法、光学観測データの取り込む手法、などが今後の課題として明らかになった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

齊藤昭則, 江藤英樹, 津川卓也, 上野玄太
GPS-TECデータを用いた拘束付き最小二乗法による電離圏・プラズマ圏トモグラフィー
2009年日本地球惑星科学連合大会
2009/5/18
千葉

Akinori Saito, Takuya Tsugawa, Michi Nishioka and Y. Otsuka
Total Electron Content observation by GPS receivers in Japan
International Reference Ionosphere 2009 workshop
2009/11/3
鹿児島

齊藤 昭則
GPSを用いた電離圏電子密度トモグラフィー
中間圏・熱圏・電離圏研究会
2009/12/01
京都

Akinori Saito, Takuya Tsugawa, Yuichi Otsuka, Mamoru Yamamoto
Solar cycle dependence of medium-scale traveling ionospheric disturbances observed by GPS receivers in Japan
2009 American Geophysical Union Fall Meeting,
2009/12/17
San Francisco, USA

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

江藤 英樹

京都大学

五井 紫

京都大学

齊藤 昭則

京都大学

陳 佳宏

京都大学