平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2006

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

森林構造の時系列モニタリングデータを用いたシカ類と森林更新の相互作用の解明

フリガナ

代表者氏名

クボタ ヤスヒロ

久保田 康裕

ローマ字

KUBOTA Yasuhiro

所属機関

琉球大学

所属部局

理学部海洋自然科学科生物系

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

190千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

日本列島の様々な森林において、シカ類による採食が森林構造を変化させていることが報告されつつある。この背景には、シカ類個体群の増加や行動様式の変化が挙げられる。シカ類の採食圧が継続した場合、将来の森林植生分布に大きな影響を与えることが予想される。本研究では、亜寒帯・冷温帯・暖温帯に設定された森林モニタリングサイトのデータを活用し、シカ類の採食圧の植物種に対する特異性及びその時系列変異を明らかにしようとした。

 知床、九州山地、霧島の各サイトに設置された森林の永久方形区では、過去10年間のシカ類による樹木の食害が顕在化している。そこで、各森林タイプ毎に、シカ食害が樹木個体群に及ぼす影響を解析した。また、知床の森林については、エゾシカ食害の時系列変異を解析した。その結果、シカによる食害は種間差が大きく、森林タイプ間で異なること、また、時系列上でも変異すること等、が明らかとなった。例えば、知床の広葉樹種オヒョウは、樹皮剥ぎによる枯死でその個体群がプロット内から消滅しつつあることが明らかになった。しかし、2000年以降は、エゾシカの食害は激減し、それによる死亡率も減少に転じたことが明らかとなった。つまり、エゾシカの行動様式の変化によって樹種の死亡率は、時間軸あるいは局所的に大きく変動する可能性が示唆された。森林を広域的に見た場合、環境条件は同じなのに、こちらの斜面はA種がやたらと多いが、あちらの斜面にはA種がほとんど分布しない、といった森林構造の局所的変異を観察することがある。この要因の一つとして、エゾシカの局所的な選好的食害が樹木個体群構造の空間変異に及ぼす効果が挙げられるだろう。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究の詳細は、研究代表者(久保田)のWebサイトで公開している。以下Webを参照。
http://www.kubota-yasuhiro.com/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特になし。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

島谷 健一郎

統計数理研究所

藤井 新次郎

鹿児島大学

吉田 俊也

北海道大学