平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−30

専門分類

3

研究課題名

最適制御による、弱者に優しい歩行環境作り(続)

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ サチオ

中村 幸夫

ローマ字

所属機関

横浜ゴム株式会社

所属部局

研究本部

職  名

室長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

高齢化社会に向け、人間の最も基本的な生活動作の一部である歩行運動に最適制御理論を適用し「快適な歩行路・床・靴等の組み合わせ」を明らかにする。高齢者の健康維持、寝たきり老人の予防に「歩行運動」が有効とされる社会的ニーズに応えつつ、関連分野の商品開発に人間工学的考察を加えて活性化をはかる。


平成6年度では、歩行中の足圧を靴の内底のインソールセンサーで測定し、各種路面の「歩き心地」を評価することを試みたが、データ測定が大変な為に多くの被験者に対して実験を行うのは実用的で無いだけで無く、快適性を支配する因子の同定も困難な為、平成7年度では方向を変えて、被験者の官能評価から路面の快適性指標を作成することにした。
「17種の路面・34名の被験者・3種の靴」の全ての組み合わせに対して被験者実験を行い、(1)路面の硬さ感, (2)硬さの好き嫌い, (3)転倒時の痛み感、(4)滑り感, (4)滑りの好き嫌い, (5)安定感, (6) 路面の凹凸感, (7) 接触感, (8) 足音, (9) 長距離歩行時の疲労感予測、等の項目を問う質問票に解答して貰い、その集計結果に数量化III類を適用した。
第1固有ベクトルでは「 被験者のレンジ:6.26 」・「靴のレンジ:2.07」・「年齢層のレンジ:3.12」を上回って「路面のレンジ:7.05」が最大の説明力を有し、被実者・靴等のノイズ成分を卓越する為、各路面の得点にできることが分かった。実際、年齢層を越えて評判の良かった3路面群は高得点の範囲で(-2.0〜-2.23)に属し、泥水を被した路面の得点は最悪の(4.82)と現実を反映している結果になった。外部要因として、最後に総合評価を5段階で評価して貰ったものに色付けし得点を2次元表示すると、快適な実施から不快なものへと二次曲線に沿って色が連続的に遷移する順序構造を持つことが分かった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

従来、建築・土木主体の構造解析と官能評価が用いられてきたこの分野に、スポーツ工学的接近が行われるようになってきた。しかしながら、「歩き心地評価」に、歩行のメカニズムと最適制御理論を組み合わせた研究は未着手になっていた。最近になって、「人の立位姿勢制御」にシステム同定を使ったモデルの当てはめが行われるようになり、時系列解析の適用範囲が広がりつつある。人の歩行のふらつき、年齢・個人差、路面・靴等の特性を取り込んだモデル作成は一企業の能力を越える研究課題であり、統計数理研究所と稲城市立病院グループとの共同研究が不可欠である。平成7年度実施計画のデータ計測システムの立ち上がりが遅れた為、平成8年度の共同研究に継続させたいので申請いたします。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

和田 孝雄

稲城市立病院