平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−82

専門分類

7

研究課題名

魚類の系統分類

フリガナ

代表者氏名

ハセガワ マサミ

長谷川 政美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

肺魚、シーラカンス、それらを除いた硬骨魚類などの系統分類は、魚類の進化だけでなく、陸上脊椎動物の起源をさぐる上で重要である。本研究はDNAの塩基配列データや蛋白質のアミノ酸配列データの統計的な解析により、この問題を解明することを目指すものである。


これまでに、いくつかの脊椎動物について、ミトコンドリアDNAの全塩基配列(およそ16,000塩基)が決定されている。すなわち、魚類からはコイ、両生類からはアフリカツメガエル、鳥類からはニワトリ、哺乳類からはヒト、ウシ、クジラ、マウス、ラットなどのデータがある。これらのデータをもとに、ミトコンドリアDNAの分子進化の様式と速度を魚類と陸上脊椎動物の間で比較した。
その結果、アミノ酸置換速度が、魚類、両生類、鳥類、哺乳類の順番で速くなっていることがわかった。魚類と哺乳類の間で、同義置換とアミノ酸置換の速度を比較した結果、魚類では哺乳類にくらべて、たんぱく質に働く機能的な制約が強く、そのためにアミノ酸置換速度がおそいことがわかった。このような知見は、今後広範囲の魚類の分子データから最尤法により系統分類を行なうための基礎になるものである。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Adachi, J., Cao, Y. and Hasegawa, M., Tempo and mode of mitochondrial DNA evolution in Vertebrates at the amino acid sequence level: Rapid evolution in warm-blooded Vertebrates, J. Mol. Evol., 36・3, March 1993.

足立淳,曹纓,長谷川政美,脊椎動物ミトコンドリアの分子進化−−恒温動物における速いアミノ酸置換速度,日本遺伝学会大会,1992年10月.
小島茂明,太田秀,橋本哲男,長谷川政美,岡田典弘,Elongation factor 1α アミノ酸配列にみるVestimentiferaと環形動物の近縁性,日本ベントス学会,1992年12月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

肺魚、シーラカンス、その他の硬骨魚類の間の系統分類については、特に両生類との関係に関連して論争が絶えない。そのためにこれらの生物のDNA塩基配列データや蛋白質やアミノ酸配列データを収集して、それらを系統分類することによって、両生類の起源の問題を解明する。またデータ解析のための方法を開発する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岡田 典弘

東京工業大学

岸野 洋久

東京大学

小島 茂明

東京大学