平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−19

専門分類

1

研究課題名

無限グラフ上のランダムウォークと自由エントロピー

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヒロアキ

吉田 裕亮

ローマ字

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

作用素環理論を用いた確率空間の量子化の理論で最近、自由積を用いたfree probability theoryが注目されている。特に本研究ではこのfree probability theoryに現れる自由エントロピーの応用を、無限グラフ上のランダムウォークとの関連で調査研究することを主たる目的とする。


作用素環論における確率空間の量子化の理論は非可換確率論などとも呼ばれている。この分野で最近、独立性の概念を自由積を用いて非可換化する free probability theoryがある。
今まではテンソル積を用いて、作用素環上の確率空間に独立性を考えていたがこれれでは本当の意味での非可換化ではなかった。元々自由積は離散群の自由積の概念に基づいて考えられるものであり、自由群は無限グラフであるケーリグラフとも密接に関連している。
そこで、このような無限グラフ上のランダムウォークとこの free probablityにおけるエントロピーとの関連の解析を行うことが、本研究の目的であるが、8年度は主にこの非可換確率空間 free probability space 上の分布の特徴付けに関する問題について研究を行った。
特に free probablity space 上で通常の確率空間におけるGauss分布の働きをする半円分布の特徴付けを自由性に基づいて特徴付ける問題を扱った。freeな確率変数の線形形式と2次形式の freeness に基づく特徴付けに関して結果を得た。
また自由エントロピーに関する最近の研究情報の収集も行った。9年度はさらに非可換確率空間における分布の特徴付けに関する研究を行いたいと思っている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

作用素環理論を用いた確率空間の量子化の理論で最近、自由積を用いたfree probability theoryが注目されているが、この自由積は通常の確率論での独立性の概念を非可換に導入しようと、今まで用いられていたテンソル積での問題を解決しようと導入された。テンソル積では本当の意味での中心極限定理などの漸近的な議論が困難であった。この自由積の概念を用いて初めて本当の意味での非可換中心極限定理などが確立された。元々自由積は離散群である自由群の概念を基に考えだされたものであり、このような自由群は無限グラフであるケーリグラフとも密接に関連している。このように本研究は確率統計の基礎的研究にあたり、また関連研究者が国内に散在している状況であり、統計数理研究所の共同研究として研究討議の場をもち、本研究の発展を図りたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 亮

奈良工業高等専門学校

岡崎 卓

統計数理研究所

梶原 毅

岡山大学

河上 哲

奈良教育大学

渚 勝

千葉大学