平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−51

専門分類

6

研究課題名

地震動及び微動に含まれる散乱波識別のための統計的手法の開発

フリガナ

代表者氏名

オカダ ヒロシ

岡田 広

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

大学院理学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地震動や微動には、伝搬性の実体波や表面波の他に複雑な地下構造に起因すると思われる散乱波が含まれており、それは不要な一種のノイズとみなされてきた。しかし散乱波の性質解明により、今まで困難とされていた、より現実に近い複雑な地下構造を推定できる可能性がある。その散乱波を地震動や微動から識別するための統計的手法を開発する。


地震動や微動には、伝搬性の実体波や表面波、それに複雑な地下構造に起因する散乱波が含まれている。散乱波の性質解明により、従来困難とされていた複雑な地下構造を推定出来るかどうかを検討するために、本研究では、地震動や微動に含まれる散乱波の統計的モデリングを試みた。
本研究では、当初の目的に対して未解決の部分を残している。それは散乱波の識別以前の問題として、地震動や微動に含まれる圧倒的にパワーの強い表面波の精度の高い識別が必要不可欠となったためである。表面波識別の観測システムは散乱波識別のそれと同じであることから、この問題解明は当初の目的にもかなう。
ここで問題となった表面波識別を数値シミュレーションで試みた。観測点10点のアレイを想定し、観測波には野外で観測した微動を入力とし、F-k スペクトル法により、位相速度と到来方向の推定から表面波の識別を行った。まずF-k スペクトル推定では、時間領域でdirect segment法を導入、cross-spectrumの推定には、微動のARモデリングとその的確さの判断にAICを導入することによる推定値の客観性、精度向上を図った。得られた結果は次の通りである。
total power で入力の100%のwhite noise を含む微動を入力した場合、1)1方向入力の時は、真の位相速度と到来方向を与える。2)複数方向からの入力の時は、低周波数側で真の位相速度、到来方向と一致しない。位相速度の推定値は必ず大きい方にずれ、約30%になることもある。到来方向は入力波のpower強度大なる方向にずれる傾向がある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

凌甦群・岡田広、微動中の表面波と地震動による表面波の位相速度の推定と比較、物理
探査学会、1994年5月25日
 石川顕・宮腰研・凌甦群・岡田広、微動探査法における周波数・波数スペクトルの平均
法の改良、物理探査学会、1994年5月25日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

地震動や微動を観測すると、伝搬性の実体波や表面波が記録されるが、その他に、(1)地震動や微動の発生源近傍の媒質、(2)途中伝搬経路の媒質、(3)観測点近傍の地下構成媒質、等の複雑さに起因する散乱波が必ず記録される。これら散乱波源の3次元空間分布を特定すれば、地下構造は今までにない微細かつより現実に近い構造として把握できるようになり、地球内部への理解が一層深まる。そのための地震動や微動の観測は、多数の地震計からなる群列観測網によって行うが、それから散乱波を識別するためのデータ収録及び解析には、散乱波群に対する統計的モデリングの手法が必要と考える。それには、統計数理研究所及び北海道大学、旭川大学の研究者の共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所

Jiang Xing-Qi

旭川大学

高波 鐵夫

北海道大学

Ling Su-Qun

北海道大学大学院