平成28（2016）年度　共同研究集会実施報告書

課題番号	28−共研−5012		分野分類			統計数理研究所内分野分類			g
						主要研究分野分類			5
研究課題名	極値理論の工学への応用
フリガナ 代表者氏名	キタノ トシカズ 北野 利一				ローマ字		Kitano Toshikazu
所属機関	名古屋工業大学
所属部局	社会工学専攻
職　　名	准教授
配分経費	研究費	40千円		旅　費		270千円		研究参加者数		33　人

研究目的と成果（経過）の概要

極値理論の応用ならびに理論のさらなる発展に興味がある研究者が，統計数理研究所に集い，現在取り組んでいる進行中の研究を紹介し，その中で生じる問題点の解消や今後の研究の発展にヒントとなる情報交換を行う機会として，研究集会を開催することにより，参加者の今後の研究の刺激とすることが目的である．

下記のとおり共同研究集会を開催し，本年は，中央大学 理工学部 経営システム工学科 長塚 豪己 教授をゲストスピーカーにお迎えし，最尤推定が不能となる（形状母数が$ xi <= 0.5 $ の）ケースで，巧妙な変形を行なうことにより，推定可能となる手法を紹介いただき，たいへん参考になった．また，今年度に初参加となる気象研究所の杉氏から気候変動に関わる降水量の極値の地域頻度解析に関する新しい知見を発表いただき，極値理論の工学への応用を広めて行く必要性を改めて認識した次第である．

共同研究集会「極値理論の工学への応用」　
　　　　　　　　　　　　課題番号　28-共研-5012
日程：２０１６年１０月３１日（月）12:50〜17:25，
　　　　　　　　１１月　１日（火） 9:45〜12:10
場所： 統計数理研究所 ３Ｆ セミナー室２

１０月３１日（月）
12:00 〜　　　 開場
12:50 開会挨拶（北野利一）
13:00-13:45 北野 利一（名古屋工業大学）
60年X 50アンサンブル＝3,000年分？の降水量データを活用した極値統計解析

13:45-14:45 長塚 豪己（中央大学 理工学部 経営システム工学科）
招待講演：極値統計学における非正則性の問題と信頼性工学への応用

14:45-15:30 樫山 文音（慶應義塾大学大学院理工学研究科）
多地点情報を用いた年最大降水量データ解析

15:30-15:45 休憩

15:45-16:20 渋谷 政昭（慶應義塾大学 名誉教授）
災害の歴史的データ、一般ベータ分布

16:20-17:05 田中 茂信（京都大学 防災研究所 水資源環境研究センター）
d4PDFを用いた利根川水系の降水量の極値解析

17:05-17:25 研究会打ち合せ（次年度の企画案など）　進行: 北野 利一
研究リポートの提出などの事務連絡 　　志村 隆彰

１１月１日（火）
9:30 〜　　　 開場
9:45-10:20 西郷 達彦（山梨大学）
最大値自己分解可能分布にかかわる問題

10:20-11:05 高橋 倫也（神戸大学 名誉教授）
平均超過関数と分散超過関数

11:05-11:50 杉　正人（気象研究所）
広域地域頻度解析法による日本の極端降水確率の推定

11:50-12:00 テキスト紹介 　高橋 倫也・志村 隆彰
12:00-12:10 事務連絡／閉会挨拶 　志村 隆彰／北野 利一

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

1) 高橋倫也・志村隆彰: 極値統計学，近代科学社，262p.
2) Sugi, M. et al., 2017, Estimating probability of extreme rainfall over
japan using extended Regional Frequaency analysis, Hydro. Lett., (in print).
3) 樫山文音 (2017): Max-Stable Processによる多変量極値データへのアプローチ，
慶應義塾大学大学院理工学研究科 基礎理工学専攻，修士論文，30p.
4) 北野利一・高橋倫也・田中茂信: 気候モデルから得られる多数のアンサンブルデータを用いた確率降水量の推定法，土木学会論文集B1（水工学），第72巻，印刷中，2017.
5) 北野利一：６０年X５０アンサンブル標本＝３，０００年分？の降水量データを活用した極値統計解析，統計数理研究所共同研究リポート 384，pp.10-17, 2017.
6) 北野利一：極端海象の極値統計解析，海洋工学シンポジウム講演論文集，CD-ROM，OES-016，4p., 2017.
7) 北野利一：気候変動による豪雨リスク変化の検出に係る過誤のバランス，企画セッション (10) リスク科学のフロンティア，統計関連学会連合大会，金沢大学，2016.09.06.
8) 北野利一・川崎将生・山地秀幸： 豪雨による洪水と内水氾濫の同時頻度解析，科研費シンポジウム「空間データと災害の統計モデル」，同志社大学 今出川キャンパス，2017.01.28.
9) Nagatsuka, H. and Balakrishnan, N., A new approach to parameter estimation for the generalized Pareto distribution, submitted, 2016.

研究参加者一覧
氏名	所属機関
飯田 孝久	慶應義塾大学
大森 裕浩	東京大学
沖本 竜義	オーストラリア国立大学
樫山 文音	慶應義塾大学大学院
川崎 能典	統計数理研究所
神田 順	東京大学
国友 直人	東京大学
五家 建夫	東京都市大学
小林 健一郎	神戸大学
西郷 達彦	山梨大学
篠田 昌弘	鉄道総合技術研究所
柴田 俊夫	大阪大学
渋谷 政昭	慶応義塾大学
志村 隆彰	統計数理研究所
清 智也	慶應義塾大学
関 庸一	群馬大学
高橋 倫也	神戸大学
寶 馨	京都大学
竹内 惠行	大阪大学
田中 茂信	京都大学防災研究所
塚原 英敦	成城大学
椿 広計	統計数理研究所
外狩 麻子	東日本旅客鉄道株式会社
長塚 豪己	中央大学
西嶋 一欽	京都大学
華山 宣胤	尚美学園大学
廣瀬 英雄	九州工業大学
藤部 文昭	気象庁気象研究所
牧本 直樹	筑波大学
間瀬 肇	京都大学
南 美穂子	慶應義塾大学
柳本 武美	統計数理研究所