平成182006)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

18−共研−2051

専門分類

8

研究課題名

多変量解析を用いたテキスト分析研究

フリガナ

代表者氏名

タバタ トモジ

田畑 智司

ローマ字

Tabata, Tomoji

所属機関

大阪大学

所属部局

大学院言語文化研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

260千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本共同研究は,言語工学,計量言語学・コーパス言語学,多変量解析など関連諸分野の知見を有機的に統合したテキスト分析の方法論を開発し,量的観点からテキストにアプローチする可能性を探る試みである。このプロジェクトは大きく分けて二つの層で構成されている。一つは研究基盤となる電子化言語資料(コーパス)やセマンティック・ウェブからのデータ抽出法の開発,もう一つは抽出したデータの統計学的分析である。言語データの統計学的解析の事例としては,語彙,コロケーション,意味構造などのレベルにおける言語使用の実態研究,言語使用域間の言語変異や文体差の問題などの考察が挙げられる。本研究では特に,対応分析,主成分分析,判別分析等,多変量解析のツールを用いたテキストの言語特徴抽出のための方法論を比較検討し,データマイニング,テキストマイニングなどの応用事例を視野に入れた高精度のテキスト分析法・文体分析法の提案を目的とした。
 本年度の研究計画では,16世紀フランス詩(岩根),散文の世紀(1680-1780)の文体(田畑),セマンティック・ウェブの統計解析(緒方),英語極大詞の使用域間変異(紙谷),科学技術英文における名詞−動詞の共起関係の量的記述(後藤),ベルギー国王による蘭仏二言語スピーチの分析(石部)という個別の研究テーマを設定した。多様な研究テーマではあるが,全研究課題に通底するのは,テキストデータ分析の方法論として,主成分分析,対応分析など多変量解析を用いて語彙生起頻度表を分析するという共通の手法である。
 各自の研究課題を進める過程で統計数理研究所,データ科学研究系,前田忠彦准教授に統計解析法およびデータ分析法の要点,個別の課題それぞれについて改善すべき問題点等に関する指導と助言を受けた。さらに,平成18年8月7日(月)と平成19年2月13日(火)に統計数理研究所へ出張して開催した研究会と合同セミナー「英語研究と統計2007」において,前田准教授および他の参加者との質疑応答,討議で研究方法論の精緻化へ向けた情報交換や指導・助言を受けたことは極めて有益なことであった。これらの助言をもとに個別研究課題の修正,発展を行い,研究成果報告書「多変量解析を用いたテキスト分析研究」にまとめた。なお,本研究課題は「多変量アプローチによるテキストの計量研究」と一部題名を変更するものの,平成19年度も継続課題として実施する予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本年度研究成果を中心として,共同研究リポートNo.201「多変量解析を用いたテキスト分析研究」(2007年3月刊行)をまとめた。所収論文は下記の通り。
後藤 一章 「統語機能別頻度分布に基づく名詞の特徴的コロケーションの発見」
紙谷 一彦 「極大詞の差異について−多変量解析を使用した類義語の分析−」
田畑 智司 「多変量解析を通して見る「散文の世紀」−The Century of Prose Corpus Part Bにおける言語変異−」
石部 尚登 「ベルギー国王の蘭仏二言語スピーチの分析」
田畑 智司 「コーパス言語学のための多変量解析入門」
前田 忠彦 「言語研究と統計:入門」

 他,代表者の専攻領域(コーパス文体論,文体統計学,コーパス言語学,フィロロジー:18,19世紀の英語散文コーパス編纂;機械可読テキストを利用したDickensの言語・文体研究;著者推定法;テクスト類型論など.)に関係する一般的な情報として,下記のページにて情報発信中。
http://www.lang.osaka-u.ac.jp/~tabata/research.html

  また,下記の研究会に関しては,次のページにて概要を公開中(2007年5月1日現在)。
http://www11.ocn.ne.jp/~iskwshin/stat2007.html

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成18年8月7日(月),他二件の統計数理研究所共同利用研究課題(課題番号5004「日英語の基本語抽出における統計手法の研究」研究代表者:神戸大学国際コミュニケーションセンター/総合人間科学研究科・助教授・石川慎一郎,課題番号2052「レベル別ESPコーパスの特徴語を確定する統計手法」研究代表者:名古屋工業大学情報メディア教育センター・教授・小山由紀恵)と本研究課題との合同研究会を統計数理研究所にて開催した(参加者数12名)

平成19年2月13日(火),上記の共同利用研究グループと本研究課題との合同セミナー「英語研究と統計2007」を統計数理研究所にて開催した(一般の参加者も加えた参加者数70余名)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石部 尚登

大阪大学

岩根 久

大阪大学

緒方 典裕

大阪大学

紙谷 一彦

大阪大学

後藤 一章

大阪大学

前田 忠彦

統計数理研究所