平成252013)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

25−共研−1013

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

6

研究課題名

東アジアにおける生態系や生物多様性と人間の福祉に関する意識調査

フリガナ

代表者氏名

ショウ コウイ

蒋 宏偉

ローマ字

Jiang Hongwei

所属機関

人間文化研究機構総合地球環境学研究所

所属部局

研究部

職  名

研究員

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

人間文化研究機構・総合地球環境学研究所では、2011-12年度に「東アジアにおける環境配慮型の成熟社会:社会保障と環境保障の統合」という予備研究が行われた。プロジェクトの目的は、少子高齢化が進む東アジア各国において、社会福祉と環境保全が両立した持続可能な社会を構築する上での問題点を明らかにすることである。このプロジェクトの一環として、生態系サービスや生物多様性が、人間のwell-beingにとってどのような役割を果たしているか明らかにするため、国際意識調査を企画した。
 (特に都会の)日常生活では意識されることの少ない生態系サービスなどが主観的well-beingに与える影響を検出すること自体が難しいと予測される。そこで、統計数理研究所が長年にわたり継続してきた日本人の国民性調査やそれと関連する国際意識調査で培われたノウハウを吸収し、本研究の足がかりとしたいと考えた。日本人の国民性調査と同じようにこのような国際意識調査の方法論の検討も本研究の目的に含まれており、並行して、先行研究における環境に対する意識調査との比較も行う予定であったが、本プロジェクトが2012年度で終了したため、上海住民1,000人を対象とした意識調査を行うのみに留まった。
  人生満足感の指標(Satisfaction with life scale:SWLS)や幸福感(11段階の自己評価)を応答変数とし、前者には正規分布を、後者には順序プロビットモデルを当てはめ変数減少ステップワイズ法でAICc最小モデルを選択した。その結果、人生満足感や幸福感に影響を与えると言われている性格(楽観的か悲観的か)や、世帯収入や所属するコミュニティ・公共サービス・健康に対する満足度で調整した上でも、人生満足感や幸福感と「大気環境に対する満足感」や「河川環境の状態に対する認識」は有意な正の相関を示した。
 これらの結果は、自然環境が人生満足感や幸福感に影響を与えうることを示している。また、それぞれの説明変数の効果の大きさ(effect size)を比較することで、地域で優先的に守るべき自然環境やその費用対効果を検討できる可能性がある。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高野宏平(東北大学)・蒋宏偉・福士由紀・張文明・源利文
「上海における環境意識に関する質問票調査」
総合地球環境学研究所 中国環境問題研究拠点 国際シンポジウム
「東アジアにおける都市化と福祉・環境問題?上海を中心に?」2013年7月16日(京都)
http://www.chikyu.ac.jp/rihn_13/archive/topics/2013/symposium_130716_annai.html

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

総合地球環境学研究所 中国環境問題研究拠点 国際シンポジウム
「東アジアにおける都市化と福祉・環境問題?上海を中心に?」2013年7月16日(京都)
http://www.chikyu.ac.jp/rihn_13/archive/topics/2013/symposium_130716_annai.html

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

島谷 健一郎

統計数理研究所

高野 宏平

東北大学

福士 由紀

人間文化研究機構

前田 忠彦

統計数理研究所

吉野 諒三

統計数理研究所