平成152003)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

15−共研−3

専門分類

2

研究課題名

(1)計算理論の力学系的基礎付け (2)学習・記憶の力学系モデル

フリガナ

代表者氏名

イトウ イチロウ

伊藤 一郎

ローマ字

Ito Ichiro

所属機関

東京学芸大学

所属部局

数学・情報科学科

職  名

助教授

所在地

TEL

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研究目的と成果の概要

共同研究集会「動的システムの情報論2」を2002年11月7日、8日に統計数理研究所
で開催した。会議の主旨は以下のようなものであった。
情報・制御・計算・論理・ゲームの概念は、元来、生物・脳・言語・社会といった生
物系、認知系のシステム論的理解を動機として考えられてきた情報処理の基本的概念で
ある。これらの情報論の研究は伝統的には様々な現象に共通する性質を分析し、情
報処理過程の一般的な性質を分析する方向に展開した。しかしこれは一方でスケールや
機能、情報表現や媒介が異なる様々な情報過程の概念を極端に一元化する結果を招い
た。現実世界の多様な現象に対して我々が現在もつ情報過程の概念は極めて貧弱であ
り、全く異なる分野の全く異なる現象が、サイバネティクス以来の古典的な情報論に基
づいて、無考慮に同一的に「情報処理」として分析されてしまっているのが現状であ
る。会議では生物系や認知系にみられる個々の情報処理過程の特徴と差異を鑑み、それ
を踏まえた上で動的な情報論の普遍性、階層性を考える。
講演者を含めて30人程度の異なる背景をもつ研究者がワークショップに参加した。「記
憶と履歴」が今回の中心テーマであったが、実験結果の解釈や展望に関して、批判も含め
て活発な議論が交わされた。話題提供者はそれぞれ2時間程度を講演と議論にあて、シス
テムの応答の柔軟性と履歴、動的な記憶構造について密度の濃い議論がなされた。世話人
と講演者の原稿は統計数理研究所共同研究レポート171「動的システムの情報論(3)」にま
とめられている。