平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2039

専門分類

7

研究課題名

健康に深く関連する生活習慣のコウホート分析

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

Nakamura Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

[研究目的]
 かつて成人病と呼ばれた「生活習慣病」は,その名の示すごとく無意識のうちに日常生活の中で
繰り返される長年の行動(習慣)が原因となっている疾患のことである。厚生労働省は,2000年か
ら10年間のわが国の健康政策目標「健康日本21」を掲げ,生活習慣の改善を重要な目標として掲
げた。本研究は,この中で取り上げられている,改善項目のうち,?身体活動・運動習慣,?飲酒
習慣,?喫煙習慣を取り上げ,コウホート分析することを研究目的とする。
 私たちはこれまで齲蝕(むし歯)を中心にコウホート分析を続けてきており,歯科疾患のように
特定の年齢のときに受けたその時代の生活習慣に大きく影響される(=コウホート効果の強い)疾
患の解析には,中村のベイズ型コウホート分析による解析が有効であった。
 今回取り上げる上記の3項目の習慣は,個人的な嗜好によるものであるが,一度身につくと長期
間にわたって持続する性質があり,ベイズ型コウホート分析は本研究にとっても最適な解析方法で
あると考えた。
[研究成果]
1:性・年齢(階級)別の健康に関連する継続的調査資料(国民栄養調査)に最新データ(平成14年調
査)を追加した。
・運動習慣(週2回以上,1回30分以上,1年以上継続)
・飲酒習慣(週3日以上,1回日本酒で1合以上)
・喫煙習慣(現在の継続的喫煙)
2:上記の資料をデータベース化し性別コウホート表を作成した(平成3年から14年まで12回)。
3:コウホート表から,年齢(階級)×調査時点の等計量線図を作成して俯瞰的に検討するとともに,
ベイズ型コウホート分析により,時代・年齢・コウホートの3効果を分離した。
4:特に,今回取り上げた項目は,物質依存性を強く持つ嗜好品であるため,3効果のうちでも,コ
ウホート効果の現れ方に注目して分析した結果,
・運動習慣:戦後教育を受けた世代で運動習慣が高く,学校教育の効果がうかがえた。若い
世代で,運動習慣が急激に低下していた。高齢者の方が運動をする習慣が高かった。
・飲酒習慣:女性の最も若い世代での飲酒習慣の急激な上昇が認められた。男性は,年齢効
果が最も大きく変化しており,コウホート効果では,女性とは逆に若い世代ほど低下して
いた。
・喫煙習慣:男性では,世代が若くなるにつれて喫煙習慣の低下が見られたが,女性では,
むしろ上昇していた。
5:日本アルコール・薬物医学会にて学会報告を行なった。今後も,継続して研究を深めたい。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[学会発表]
・那須郁夫,渡邉寿子,中村 隆(2004)。日本人飲酒習慣のコウホート分析,ベイズ型コウホー
ト分析による,第39回日本アルコール・薬物学会総会,八王子学園都市センター・クリエイト
ホール,2004.09.09。
本年度の研究に関連するこれまでの研究発表
[論文]
・那須 郁夫,渡邉 寿子,中村 隆,堀内 俊孝(2003)。日本人習慣飲酒のコウホート分析?国民栄
養調査による?,厚生の指標,50(2),1-8。
[学会発表]
・那須 郁夫,渡邉 寿子,中村 隆,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹(2001)。日本人飲酒習慣
のコウホート分析,国民栄養調査による,日本公衆衛生学会,高松市:全日空ホテルクレメント
高松「飛天」,2001.11.2)
・那須 郁夫,渡邉 寿子,中村 隆,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹(2003)。日本人運動習慣
のコウホート分析,国民栄養調査による,日本公衆衛生学会,京都市:国立京都国際会館,
2003.10.23。
これまでの研究成果の一部(参考)
[論文]
・那須 郁夫,中村 隆,森本 基(1996)。永久歯現在歯のコウホート分析、歯科疾患実態調査資料
を用いて,老年歯科医学,11(2),88-99。
・那須 郁夫,中村 隆,森本 基(1996)。歯科疾患実態調査資料による歯磨き回数のコウホート分
析,口腔衛生学会雑誌,46(3),306-317。
・那須 郁夫,森本 基,中村 隆(1984)。下顎第1大臼歯齲蝕経験のコウホート分析?歯科疾患実
態調査報告資料による?,口腔衛生学会雑誌,34(3),240-247。
[学会発表]
・那須 郁夫,中村 隆,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹,渡邉 寿子(2003)。日本人上顎第一
大臼歯DMF歯数のコウホート分析,歯科疾患実態調査による,日本口腔衛生学会,北九州市:北九
州国際会議場,2003.9.27。
・那須 郁夫,中村 隆,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹,渡邉 寿子(2002)。乳歯齲蝕のコウ
ホート分析,特に下顎第二乳臼歯について,第51回日本口腔衛生学会総会,大阪市:大阪国際
会議場,2002.09.13。
・那須 郁夫,中村 隆,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹,渡邉 寿子(2001)。英国における無
歯顎者の割合のコウホート分析,第50回日本口腔衛生学会総会,愛知学院大学,2001.09.30。
・那須 郁夫,中村 隆(2000)。日本人現在歯数のコウホート分析、若い世代における永久歯萌出
遅延について,日本人類学会,東京:東京大学,2000.11.5。
・那須 郁夫,中村 隆,渡邉 寿子,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹(2000)。現在歯数のコウ
ホート分析、特に乳歯萌出時期の世代差について,日本口腔衛生学会,札幌市:北海道厚生年金
会館,2000.10.5。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

生田 明敏

日本大学

新保 秀樹

日本大学

那須 郁夫

日本大学松戸歯学部

堀内 俊孝

日本大学

渡邉 寿子

日本大学