平成232011)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

23−共研−4311

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

3

研究課題名

インフルエンザウイルスの進化モデルの構築と抗原変異予測への応用

重点テーマ

ゲノム多様性と進化の統計数理

フリガナ

代表者氏名

イトウ キミヒト

伊藤 公人

ローマ字

Ito Kimihito

所属機関

北海道大学

所属部局

人獣共通感染症リサーチセンター

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

66千円

研究参加者数

3 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

インフルエンザは哺乳類と鳥類に見られる人獣共通感染症であり、有史以来、人や家禽・家畜に甚大な被害を与え続けている。自然界・家畜・家禽の間で保持されているウイルスが人の集団に侵入し人に馴化すると、世界的大流行を引き起こす。インフルエンザの予防にはワクチン接種が有効であるが、人の免疫圧による選択淘汰を受けてウイルスの遺伝子が変異し続けるため、ワクチン株を頻繁に更新しなければならない。そこで、本研究では、ワクチン株を先回りして準備するために、計算機科学・統計科学の研究者が協働して、過去に流行したインフルエンザウイルスの遺伝子情報を大規模に解析し、ウイルスの遺伝子変異のパターンを探求した。

インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)配列の変異を多次元空間上でモデル化し、進化の方向性を予測した。1997年から2010年の各年に対し、HAアミノ酸配列から翌年のアミノ酸置換を予測し、実際に起こったアミノ酸置換と予測結果を比較したところ、本手法は再現率=64%、適合率=45%で翌年のアミノ酸置換を予測した。また、2011年に流行したH3N2ウイルスの遺伝子配列を解析した結果、2011年には異なる二つの系統のH3N2ウイルスが流行していた。そのうちの一方の系統は、本研究で予測したA/Nanjing/1663/2010(H3N2)株と近縁であることを確認した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

原著論文
Ito, K., Igarashi, M., Miyazaki, Y., Murakami, T., Iida, S., Kida, H. and Takada, A. (2011). Gnarled-Trunk Evolutionary Model of Influenza A Virus Hemagglutinin. PLoS ONE. 6: e25953.

総説
伊藤公人, (2011) バイオインフォマティクスによるインフルエンザウイルスの変異予測, 最新医学, 66巻12号 :2632-2640

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究集会「ゲノム多様性と進化の統計数理」
10月25-26日 統計数理研究所
に参加し、以下の二題の口頭発表を行った。

インフルエンザウイルスの進化モデルの構築と抗原変異予測への応用(伊藤公人)
パンデミックインフルエンザ(H1N1)2009ウイルス・ヘマグルチニンの抗原構造の解析と変異予測への応用 (五十嵐学)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

五十嵐 学

北海道大学