平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−38

専門分類

5

研究課題名

階層構造をしたニューラルネット・システムの試作とその統計的応答特性

フリガナ

代表者氏名

ハラ ヒロアキ

原 啓明

ローマ字

所属機関

東北大学

所属部局

大学院情報科学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

階層構造をした複雑な系であるニューラルネット・システム(マシーン)を解析し、マシーンの情報処理機能を応答特性として解析する。特に、環境が揺らぎを伴う場合についてマシーンの応答特性を統計的に調べる。


数理モデルの立場から学習・記憶過程をシステムの応答特性として調べた。今回取り上げるモデルは階層構造が形成される以前のランダムネットワーク(NW)の構造をしたシステムである。このシステムでは、NMの構成要素であるユニット群の集合体の一部が情報源から呈示された刺激によって活性化される。これが呈示された刺激に対応するマップされた状態である。マップされた状態のダイナミックスには、リハーサル効果と忘却効果が考慮された一般化されたランダムウォーク(GRW)を援用する。このGRWの枠組みで記憶・学習過程の定式化を行った。特にNWの応答特性を系列位置効果によって調べた。
この系列位置効果とは呈示されたリストごとに誤りをプロットするとき、正解率を表す曲線がU字形を示す効果である。定式化によると、長期記憶に対応すると思われる振る舞いは活性化されたユニット群の構造変化が関係する。一方、短期記憶に対応する振る舞いにはユニット間の結合効率が関係する事が具体的に明らかにされた。
また、誤り率(=1−正解率)はU字形を転置した上に凸型の曲線で表される。この曲線が横軸を切る点で決まる「魔法の数 7」は、NWのインジケーター(1)である秩序変数の転移点で評価されることを具体的に示した。秩序変数1は各々マップされた状態に属する各ユニットのポテンシアル・エネルギー値をその平均値から差し引いた量で定義される。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Dynamics of Serial Position Effect Described by Mapped States: A Learning Process Having Memory.(H.Hara and Y.Tamura)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

階層構造をした複雑な系(マシーン)を等価電子回路によって試作し、環境が揺らぎを伴う場合について、マシーンの応答特性を統計的に調べる。本研究は以前に統数研で行われた共同研究(原、田村)を出発点にし、今回、特にモデル計算(滝本)やマシーンの試作(舟山)に重点を置いている。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

滝本 昇

東北大学

田村 義保

統計数理研究所

舟山 邦男

東北大学