平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2002

専門分類

1

研究課題名

離散確率分布とその統計的応用の研究

フリガナ

代表者氏名

ヒラノ カツオミ

平野 勝臣

ローマ字

Hirano Katuomi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

0,1値系列や有限個の文字をとる離散系列で,連やパターンなどの待ち時間分布など,連やパターンに関す
る統計量の分布の研究を行う。この研究は確率モデルとしての興味の他に,工学的システムの信頼性や品質
管理などの統計的応用やDNA系列の統計的解析に有用な道具を提供している。
 これまでこのテーマに関して多くの成果を論文としてまとめてきた。これら一連の研究過程から得た技術をもと
に,不規則な離散系列において生じるパターンに関する統計量の複雑な確率分布の性質や統計的応用につ
いて調べるとともに,正確な確率の計算に利用する方法の開発などの問題について取り組む。
 具体的には制約条件付きの連の待ち時間の厳密分布を導出し,そのためにその確率生成母関数を求め,そ
の展開に基づいて分布を求めた。長さkの成功連がはじめて起こるまでの試行数の分布を求めるが,常に成功
数が失敗数より多いという制約条件を付けて求める。この制約条件のために通常の方法では方程式系が有限
にならないので解は求まらない。そこで打ち切りの工夫を行った。
 統計的な応用問題として,ある機械の初動試験がある。この試験のシュミレーションデータから母数の最尤推
定を試みた。更にその推定量の精度を調べるために,最尤推定量の密度関数の推定を行い,この結果,推定
が十分可能であることがわかり,これらを論文にまとめ,受理された(論文1)。
 この他,2004年度の共同研究(2004-ISM-CRP-2006)を継続し,最終的に論文として受理された。内容は,2
値のm次マルコフ系列において長さk(kはm以上)の1の連がはじめて起こるまでの待ち時間分布の確率生
成母関数を,m次までの待ち時間の確率生成母関数の関数として陽に求めた。また,独立ベルヌーイ試行にお
いて,オーダーkの幾何分布と幾何分布の関係を明らかにした(論文2)。このほか,長さk(kはm以上)の1の
連がはじめて起こるまでの待ち時間分布平均値を陽に求めた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[論文]
(1)Aki,S.and Hirano,K.Waiting time distributions for a run with additional constraints.
To appear in Journal of Statistical Planning and Inference.
(2)Aki,S.and Hirano,K.On the waiting time for the first success run.To appear in Annals
of the Institute of Statistical Mathematics.
[学会発表]
井上潔司,安芸重雄。多値マルコフ系列における連の同時分布。2005年度統計関連学会連合大会2005.
9.14。
安芸重雄,平野勝臣。ある制約付きの連の待ち時間分布とその応用。日本数学会 2006.3.28。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安芸 重雄

関西大学

井上 潔司

成蹊大学