昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−5

専門分類

1

研究課題名

データ圧縮のための情報源モデル構成法の研究

フリガナ

代表者氏名

コバヤシ キンゴ

小林 欣吾

ローマ字

所属機関

大阪大学

所属部局

基礎工学部

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年電子計算機等の多角的利用に伴い多量のデータが生成され,これらを効率的に保存する必要に迫られている。このようなデータには確率構造を仮定するのが不適当であったり,未知であったりするものが多い。したがって,データをそれ自身が持つ性質を利用して個別に圧縮するユニヴァーサルな符号化で実用に耐えられるものが待望されている。このとき,大切な点は原データの忠実なモデル化であり,そのための基礎的理論の構築とその応用に向けての実験を行なうことを目的とする。


最近の電子計算機等の多様な利用法に伴い多量の特色あるデータが生成され,これらを効率よく圧縮して保存あるいは伝送する必要に迫られている。性能の高いデータ圧縮符号法を得るためには,このようなデータの統計的性質をえぐりだし,それらを忠実に反映した情報源モデルを構築することが肝要である。今年度は,その様な問題意識のもとに,統計学と情報理論を専門とする参加者によって討論を交える機会を数度持ち,問題の本質を探った。
そのなかで,これまで研究の対象とされてきた古典的な無記憶情報源あるいはマルコフ情報源を含む,線形従属過程(LDP)と呼ばれるより広いクラスの情報源を考察することが多様なデータに対して有効であることが指摘された。
現実のデータの多くは,情報を生成している機構の状態そのものは直接には観測出来ず,その関数値のみがデータとして観測できるといったものであり,このようなデータはLDPでよく表現される。データ生成の内部機構を規定している母数が異なっていても等価な確率法則を持ったデータ出力を生み出すこともあり得るので,母数は同値類に分類されねばならない。したがって,このクラスの情報源モデルに対する母数推定の問題のうちには,どのような条件のもとに二つの異なる母数が等価であるかを定める,いわゆる,同定問題を含んでいる。そして,この問題に対して,理解し易い一つの十分条件を得ることが出来た。さらに,現在,データから同値類を規定する母数の推定法や,この情報源のクラスを表現する母数空間の幾何学的構造について考察がなされている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

各種の情報源から生成されるデータを用いて,元の情報源のパラメータを同定しようとするとき,元の情報源があるクラスに属すると考えることが多い。これまで研究の対象とされてきたクラスのほとんどは無記憶情報源ないしマルコフ情報源に限られている。現実のデータの多くは,情報を生みだす機構そのものは直接観測できず,その関数となっている過程が出力されてくると考えると自然なことが多い。このような情報源は線形従属過程と呼ばれる広いクラスに属している。このクラスの情報源に対するパラメータ推定にかかわる,線形従属性の次元の決定問題などの基礎的研究を本年度実施する。これは統計学的にも重要な課題と考えられ,情報理論と統計学の専門家が共同して研究に当たることが実のりある成果を生むと考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

甘利 俊一

理化学研究所

清水 良一

統計数理研究所

Han Te-Sun

専修大学

森田 啓義

豊橋技術科学大学