平成142002)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

14−共研−1001

専門分類

1

研究課題名

非可換確率空間における分布論に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヒロアキ

吉田 裕亮

ローマ字

YOSHIDA Hiroaki

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

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研究目的と成果(経過)の概要

通常の確率空間の持つ代数的な側面を抽出し、確率変数達に対応する代数とその上の汎関数
を期待値とみた確率論は一般に代数的確率論と呼ばれる。この内、本研究では作用素環上で展
開される、いわゆる非可換(量子)確率空間をその研究の対象とする。我々の扱う分布は、自
己共役作用素のスペクトル測度を実数上の確率測度と対応させることにより得られる分布であ
る。通常の確率空間の独立性の概念を非可換性がより反映されたある種の独立性に代えること
により、新たな極限定理等も考えられる。自由独立性やブール型独立性はその典型例である。
独立性の概念はモーメントとキュムラントの関係を与えること、すなわち合成積の公式を与え
ることにより特徴付けられているとも考えられる。本研究では、まず自由合成積とブール合成積
の補間にあたる変形自由合成積に関しての研究を行った。この補間例であるs?変形ならびにr?
変形に関してはモーメント?キュムラント公式組み合わせ論的な考察を行った。さらにs?変形お
よびr?変形を特殊な場合として含む、より広い変形自由合成積(Δ?合成積)に関する一般のモ
ーメント・キュムラント公式に関する研究も行ない学術雑誌への投稿も行った。この論文は掲載が
決まり現在印刷中である。また最近、自由合成積の2変数による変形に関する研究を行い、自由合
成積、ブール合成積そしてFermi合成積を補間することが、可能な変形例を与えることに成功した。
これにより通常の確率論(bose統計に対応)とFermi確率論(fermi統計に対応する)新たな補
間が与えられたことになる。今後はこの変形合成積に基づく確率解析(伊藤の公式)等の研究を行
う予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

平成14年度に発表された、代表者に係る分
学術雑誌等
[1]Remarks on the s-ree convolution,
in "Non-commutativity,Infinite-Dimensinality and Probability at the Crossroads",
World Scientific,New Jersey-London-Singapore,pp.412-433,2002.
[2]The weight function on non-crossing partitions for the Δ-convolution,
To appear in Math.Z.(印刷中)
[3]The combinatorics of the r-free convolution,
To appear in Infin.Dimens.Anal.Quant.Probab.and Relat.Top.(印刷中)
[4]Generalized t-transformations of probability measures and a deformed
Fermi conovlution,preprint(2003).
口頭発表
[1]Remarks on the s-ree convolution,
ハイデルベルク大学・応用数学研究所・コロキューム 2002年5月
(ハイデルベルク・ドイツ)
[2]Combinatorial remarks on the r-free convolution,
Sendai Workshop on Quantum Probability and Quantum Information 2003年1月
(仙台・日本)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 亮

奈良工業高等専門学校

梶原 毅

岡山大学

渚 勝

千葉大学