平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−57

専門分類

7

研究課題名

2標本層別サンプルに基づくブートストラップ-t検定の研究

フリガナ

代表者氏名

タグリ マサアキ

田栗 正章

ローマ字

所属機関

千葉大学

所属部局

理学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は、生物・医学統計等でしばしば現れる、2標本層別サンプルに基づいて、2つの母集団平均の差を検定する問題に対して、ブートストラップ-t検定を適用する方法についての研究を行うことを目的とする。また得られた方法を、実際のデータに対して適用し、その有効性を検証することも、本研究の目的である。


生物・医学統計等でしばしば現われる、2つの母集団平均の差を検定する問題に対して、ブートストラップ-t検定を適用する方法についての研究を行った。
仮説検定におけるブートストラップ法の適用の困難さの1つは、(対立仮説から観測された)データに基づいて検定統計量の帰無分布を推定しなければならないことである。単純なブートストラップ法のアルゴリズムを適用するだけでは、(検定統計量の)帰無分布の推定は一般にできない。2つの母集団平均の差の検定の問題に対しては、Efron and Tibshirani(1993) が位置調整を行うブートストラップ検定のアルゴリズムを提案しているが、帰無分布の推定に対する効果はよくない。
本研究ではこの問題に対して、非常に実行し易く、”精度の高い”「混合ブートストラップ検定法」を提案した。即ち、観測された2標本を混合し、そこからリサンプリングを行い、検定統計量の帰無分布を推定するという方法である。「混合ブートストラップ検定法」の有効性をシミュレーションで確かめ、「位置調整法」等と比べて、検定のサイズ・パワー等の観点からより有効な方法であることを示した。さらにこの方法を、これまでにも様々な解析の対象とされてきた、ダーウインの「とうもろこし」のデータ[Darwin(1876)]に適用し、従来の解析とほぼ同様な結果が得られることも確認した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

汪 金芳・田栗 正章 : ブートストラップ法 --- 2標本問題からの考察,統計数理,Vol.44 (1996) [受理済]


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上で述べた問題に対して、次の手順で研究を行う。(1)単純無作為標本に基づく場合のブートストラップ-t検定のサイズ,パワーについて検討する。(2)層別無作為標本に基づく場合のブートストラップ-t検定の方法を提案し、そのサイズ,パワーについて検討する。(3)上記(1),(2)の比較・検討を行う。(4)得られた結果を、Case-Control Study 等の実データに対して適用し、その有効性について検討する。本研究を行うためには、生物・医学統計とブートストラップ法の双方についての知識が要求されるため、統計数理研究所の Wan Jin Fang と共に準備的研究を進めてきた。 したがってその継続性を考え、統計数理研究所の共同研究として、本研究を実施する必要がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

本多 正幸

千葉大学

汪 金芳

統計数理研究所