平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−111

専門分類

8

研究課題名

無限期間・多時点評価を前提とした資産リスク管理問題

フリガナ

代表者氏名

ヤマシタ サトシ

山下 智志

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計科学情報センター

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

これまで1期間もしくは有限期間で議論されていた資産運用のリスク管理問題を,MDPを用いることにより,無限期間のモデルに改良する。これをこれまで扱えなかった永久資産(厚生年金企業資産等)の運用戦略作成に応用することを試みる。


通常の資産のリスク管理は、ポートフォリオ理論を発展させた資産・負債を同時に管理するモデル(ALMモデル : Asset Liability Management Model)によって行われる。しかし、これをそのまま年金に適用するには以下の問題を解決する必要がある。
(1) 年金基金の負債は、年金数理計算というきわめて煩雑なモデルにより算出される。そのため、政策決定に必要な最適化計算において解を求めることが困難になる。
(2) 一般的なALMモデルの多くが1期間の最適政策を決定するモデルであるのに対し、年金基金は永続が建前の基金であり、無限期間の動的モデルによる同定が必要である。
本研究所では、実務レベルのリスク管理担当者との共同研究により、これらの問題を解決し実用的なモデルの構築を試みた。
具体的には、経済環境のような時系列的なリスクを管理するのに適した方法であるMDP(Markov Decision Process)を用い、無限期間の最適ポートフォリオ政策の作成モデルを提案した)。
この実用性を追求したリスク管理モデルは、年金基金の安定性に貢献し、現在一定の成果を達成しつつある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

矢頭智夫、山下智志,MDPによる年金ALMの無限期間最適化問題,Research Memorandum No577,1995.10

矢頭智夫、山下智志,年金ALMの感度分析と掛け金率計算の簡略化の事例研究,日本ファイナンス学会第3回大会,1995,5,25
矢頭智夫、山下智志,MDPによる年金ALMの無限期間最適化問題(2),日本OR学会投資と金融の研究会,1995.11.15

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究は研究代表者,共同研究者らが継続的に行っている研究「Asset Liability Managementの数理モデル」の主要部分を担うものであり,本年度は,(1)MDPモデルの資産管理問題への改良,(2)金融指標の離散モデルの作成,(3)年金資産を対象としたときの無限期間問題としての評価関数の作成,(4)MDPモデルの有効性の検討,の4点について研究する。本研究を進めるに当たっては,時系列解析,最適化などの統計数理研における研究成果が必要になると同時に,マクロ経済分析や金融の実務的知識も必要であり,共同研究として行うのが相応しいテーマであるといえる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

矢頭 智夫

安田信託銀行