昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−99

専門分類

9

研究課題名

毒性データ解析における多重比較方式の標準化

フリガナ

代表者氏名

ヨシムラ イサオ

吉村 功

ローマ字

所属機関

東京理科大学

所属部局

工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

毒性試験データの解析で使われる多重比較方式には,チューキー,ダネット,ウィリアムズ,シャーリーなど多くの手法があるが,現実問題では,それが必ずしも適切には使われていない。本研究の目的は,これらの各手法の性質を系統的に整理し,決定樹方式にまとめて標準化し,エキスパートシステムに組み込むときの注意点を吟味することである。


現実の毒性試験データの解析で使われている多重比較方式は,チューキー,ダネット,ウィリアムズ,シャーリーなどの手法がある。さらに近年,これらのほか,いろいろな多段手順や,p値を用いた多重比較方式が開発されている。これらのどれをどのように使い分けるのが最適か,というのが本共同研究での中心的な問題意識であった。
本研究は共同研究である。したがって本来は,研究参加者が頻繁に集まり討論をすべきであるが,旅費等の制約のため,基本的には個別に研究を進め,その成果を持ち寄って討論を行うという形式にせざるをえなかった。
われわれは最終的な討論の会合を,1月9日,10日にもった。そこでは,データ解析において必要な手法について,現実例にもとづく報告が3人の技術者からなされ,現実に必要なものが,比較的限られた条件の下での手法であることが明らかにされた。これに対し,統計学の理論家からは,現時点で存在している手法を整理した紹介と,その手法の性能比較で明らかになっていること,比較の規準の多様性,適用上の多重性への対処法についての報告がなされた。そして,理論的にすぐれているといえる多段手順を,本当に使いこなせるかどうかが,議論された。
本研究の最終目標は,毒性データ解析における多重比較方式の利用の標準化であったが,問題の困難さの故に,標準化そのものにはいたらず,今後解決すべき問題の整理にとどまった。われわれは,この共同研究の結果を報告書にまとめたが,これは毒性データ解析の実務家に好評であり,現実のデータ解析において有効に活用されている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

松田眞一,“多重比較法の最近の展開について”
応用統計学会,1989年度年会,特別講演
高橋敏哉,椿広計,渋谷政昭
“多重比較の有意確率の計算”
応用統計学会,1989年度年会,講演
吉村功“用量群に対する多重比較法の検討”
応用統計学会,1989年度年会,講演
統計数理研究所共同研究リポート18
“多重比較方式の諸問題”,1989.3


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

近年,毒性試験のデータが環境変異原データ集などとして整理されてきている。これらのデータを,量反応関係における単調性や頭下げ傾向,各種対照の組み込み方,などで類型化し,これに対応する多重比較問題の定式化を行う。これを決定樹風に整理し,その各分岐における選択の基準,各枝での可能な手法としての比較法を列挙する。各手法の性能を個々に吟味検討した上で,総体としての決定樹の現実適合性をシミュレーションと現実のデータとで吟味する。
この研究には,毒性研究機関の研究者,毒性試験の現場の関係者,生物統計学者の共同作業が必要であり,その場としては統計数理研究所が最適である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安楽 和夫

西南学院大学

大橋 靖雄

東京大学

高橋 行雄

日本ロシュ株式会社

永田 靖

熊本大学

橋本 修二

東京大学

林 眞

衛生試験所

松田 眞一

名古屋大学

松本 一彦

東洋醸造(株)

柳川 尭

九州大学

柳本 武美

統計数理研究所