平成302018)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

30−共研−2039

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

イベント来場者調査の比較による萌芽的科学技術に対する市民の受容意識の検討

フリガナ

代表者氏名

マエダ タダヒコ

前田 忠彦

ローマ字

Maeda Tadahiko

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

31千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究課題では、イベント来場者調査の比較を通してゲノム編集技術といった新たな科学・技術の食品への応用に対する市民のリスク/ベネフィット意識を測定し、地域性といったその他の要因を考慮しながらイベント同日の行動との関連を定量的に検討することで、萌芽的科学・技術に対する市民の受容意識を検討することを目指した。
そのために、鎌田醤油(株)の協力を得て、2地域で同企業が開催する地産地消食イベントにおいて来場者調査を実施した(統計数理研究所研究倫理審査承認番号:ISM18-002)。調査は、香川県坂出市(お客様感謝デー、2018年5月27日)および帯広市(秋のカマダ感謝祭、2018年9月23日)で実施し、各イベント会場への来場者に対して先着1,000名にてアンケート回答者を募集した(回答は任意であり、自記式)。その結果、坂出では、995名、帯広では997名より有効回答を得た。アンケート回答者に対しては、鎌田醤油(株)側から粗品(70円相当)を用意するとともに、あわせて統計数理研究所のロゴ入りボールペン(75円相当、科研費研究課題17K01015より支出)を配布した。また、アンケートの配布と回収にあたっては、鎌田醤油(株)社員2名およびアルバイト数名の支援を得た。
協力企業である鎌田醤油(株)に対しては、社員向け研修セミナーにおいて統計学の入門的講義を行うと共に、基礎的な集計結果(来場者の属性分布やクロス集計)を報告した(2018年10月24日および10月25日)。セミナー参加者は、鎌田醤油(株)および鎌田商事(株)の2社あわせて約100名であった。このセミナーは大変な好評を博し、「自社のCS取り組み法について知恵をいただくまたとない機会」であり、「社員達から事後感想を聞いたところ、難解な話や専門的過ぎる話がほとんどなく、素人でもとっつきやすい内容と伝え方をいただき、大変役に立ったとの意見が多かった」とのメールを社長より受領した。
現在、食品リスク意識項目に焦点をあてて分析を進めているところであるが、リスクコミュニケーションの分野で世界的に多くの研究蓄積のある「遺伝子組換え」に対するリスク意識よりも、「産地」、「放射能」、あるいは「塩分」に対する市民のリスク意識のほうが高い傾向が観察されている。また、坂出と帯広における地域差も観察されていることから、今後は潜在クラス分析等を用いてより深い分析を進め、萌芽的科学技術に対するリスク意識を測定する尺度のさらなる精緻化を図る予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
Naoko Kato-Nitta* and Tadahiko Maeda, Exploring public attitudes toward scientific research with visitor surveys and nationally representative surveys, International Workshop on Data Science 2018, Mishima, Japan, November 14, 2018.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

2018年度は研究打ち合わせのみで開催せず。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

加藤 直子

情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設

立川 雅司

名古屋大学