平成272015)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

27−共研−1007

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

7

研究課題名

ビッグデータ対応型階層ベイズモデルによるマーケティング研究

フリガナ

代表者氏名

サトウ タダヒコ

佐藤 忠彦

ローマ字

Sato Tadahiko

所属機関

筑波大学

所属部局

ビジネスサイエンス系

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

マーケティングの現場では,個人の購買行動の結果である大規模データの蓄積が進展している.それに呼応する形で,マイクロ・マーケティングと呼ばれる戦略が非常に注目されている.マイクロ・マーケティングは,これまで幅広く活用されてきたマス・マーケティングと呼ばれる戦略に対するアンチテーゼとして生まれた概念で,消費財メーカーや小売業などのマーケティングの1つの方向性を示している.しかし,これら施策の実現に求められる個に特化した情報抽出といった技術的側面の課題と実際にそれらを実現するために
必要となるコスト的課題の両面で,小売業におけるマイクロ・マーケティングの進展は限定的になっている.ただし,これまでと同じ枠組みで小売業の生産性を向上することは,現実問題として大きな困難があり,マイクロ・マーケティング的視点での施策の高度化が重要である.その際,前述した大規模データを前提とした「個に特化した情報抽出技術」は必要不可欠であり,それらの手法の開発は実務サイドから学術サイドに強く期待されている.当該研究では,学術的アプローチと実務的アプローチを融合する形式で,実践的に活用可能な,ビッグデータ対応型階層ベイズモデルによるマーケティングモデルの開発を狙いとして行った.
本年の研究では,「3階層多変量状態空間モデリングによる動的市場反応形成メカニズムの解明」,「心理的財布と購買行動の関係性のモデル化ー階層ベイズ閾値ポアソン回帰モデルの提案」,「消費者とブランドとの関係を考慮した階層ベイズモデルによるクロスメディア効果推定」といった,いずれも上述したマイクロマーケティング高度化に質する研究を行い,一定の成果をあげたと考えている.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本年研究に関連して,論文4編(査読付き3編,査読無1編)を発表し,また学会発表等を7件実施した.特に,論文に関しては,以下の通りである.

・青柳 憲治,佐藤忠彦,3階層多変量状態空間モデリングによる動的市場反応形成メカニズムの解明,日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌,Vol.58,70-100,査読有
・宮津和弘,佐藤忠彦,心理的財布と購買行動の関係性のモデル化ー階層ベイズ閾値ポアソン回帰モデルの提案,Vol.44,No.3,161-182,査読有
・日高徹司,佐藤忠彦,消費者とブランドとの関係を考慮した階層ベイズモデルによるクロスメディア効果推定,日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌,Vol.59,106-133,査読有
・佐藤忠彦,統計学的マーケティングとは何か? ーマーケティングで統計学を有効活用する視点からー,統計,Vol.67,No.2,8-14


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会は開催していない.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関