平成51993)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

5−共研−1

専門分類

2

研究課題名

MHD数理モデルによる核融合計算と最適設計

フリガナ

代表者氏名

ウシジマ テルオ

牛島 照夫

ローマ字

所属機関

電気通信大学

所属部局

電気通信学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

制御熱核融合研究においては、プラズマ核融合理論、特に磁気流体力学(MHD)モデルによる各種数値計算法が開発され、それに基づくMHD現象の予測と制御、また核融合炉設計と最適化が行われている。
本研究会では、核融合研究に関連した数値計算手法と最適化手法の妥当性の検討と新たな手法の開発を、異なる研究分野の研究者の交流を通して図る事を目標とする。


1993年11月24日から26日の3日間、当該分野の研究者38名の参加者を得て研究会を開催した。研究会の目的は、制御熱核融合研究における中心課題である、プラズマの挙動の予測とその制御の可能性を検討し、各融合炉の最適設計に寄与することにあった。対象とする基本的な数理モデルは磁気流体モデル(MHDモデル)である。
この目的のために、プラズマ核融合理論と数値シミュレーションの研究者、数値解析や応用解析を専門とする応用数学者を中心に20件の研究発表を依頼し、それらの研究発表をめぐり活発な討議を行った。研究発表の内容は、相互に密接な関連を持つ4つのテーマに分類される。
第1のテーマは、プラズマのトーラス閉じ込めの基礎となる静止平衡解についての数理解析と数値シミュレーションである。プラズマのベータ値の限界に関する理論的な評価や自由境界の数理的取り扱いに関する講演があり、さらに、FRCプラズマやヘリカル系のプラズマ閉じ込め装置に関連した数値シミュレーション結果が報告された。
第2のテーマは、静止平衡解の安定性と時間発展に関するものである。この分野では有限要素法にもとづく安定性解析コードがトカマク型の平衡について確立され、JT60などの装置で力を発揮している。現在はヘリカル系への拡張が主たる関心になっており、各種の数値計算の試みや計算結果にもとづくプラズマの挙動の予測についての報告がなされた。軸対称系や円柱対称系、さらに並進対称系については、抵抗性の効果についての数理的、数値的研究も進んでおり2件の報告があった。
第3のテーマは、磁気流体プラズマの非線形時間発展に関する数値シミュレーションである。簡約化MHD方程式にもとづく数値シミュレーションが報告され、同時に、現実のプラズマを制御するために電子サイクロトロン加熱が有効であるという実験サイドからのヴィデオ記録を交えた報告を得て、数値シミュレーションの有効性が明らかにされ参加者に大きな感銘を与えた。
第4のテーマは、新たな数値解法やシミュレーション手法の提案である。数値解析の専門家による時間発展系の新たな数値解法の提案や関連する分野における数値手法の紹介があり、ニューラルネットワークの利用にまで話題が及んだ。
以上は研究会における講演内容をテーマに分類しての紹介である。これらの研究は最適な核融合炉の設計を目指す中で相互に密接に関連し、現在可動中の炉の改善や建設中の炉の設計変更や来るべき国際共同研究炉ITERの設計に役立てられようとしている。本年の研究会では最適化理論そのものの専門家からの報告は用意されなかったが、この研究会が契機となり、今後、統計数理研究所を舞台に大いにこの分野の研究交流が進むことを期待している。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

加古 孝、MHD数値シミュレーションと数値解析、シミュレーション(小特集:核融合)、第12巻・第2号、1993年6月
徳田伸二、トカマク不安定モードの解析、シミュレーション(小特集:核融合)、第12巻・第2号、1993年 6月
研究集会(1991年度)MHD数値計算の基礎研究講演論文集、研究会世話人(牛島照夫 他)、1992年2月20日

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

五十嵐 一

北海道大学

加古 孝

電気通信大学

竹田 辰興

電気通信大学

田辺 國士

統計数理研究所

徳田 伸二

日本原子力研究所

等々力 二郎

核融合科学研究所

中村 祐司

京都大学

本間 利久

北海道大学

若谷 誠宏

京都大学