平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−68

専門分類

7

研究課題名

生存期間が不完全デ−タとして得られたときの統計解析法の研究

フリガナ

代表者氏名

オオタキ メグ

大瀧 慈

ローマ字

所属機関

広島大学

所属部局

原爆放射能医学研究所

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

トランケ−ションや左側センサリングなどを含む不完全な生存期間デ−タに対する有効な解析法の開発を目的とする。本研究では、理論的研究だけでなく、デ−タ解析のためのコンピュ−タアルゴリズムやソフトの開発をも研究の目的とする。


左側トランケーションやセンサリングを含む生存期間データに対する統計解析法について研究を行った。その1つは、完全にパラメトリックな方法であり、「区間センサリングを含むデータに対してワイブルハザードモデルに基づくモデリングを通じて最尤法により推定を行う」というものである(Otani, Ohtaki et al., 1996)。理論的研究結果を基にパーソナルコンピュータ上でデータ解析を実現するためのコンピュータアルゴリズムおよびソフトウエアを作成した。
さらに、この応用として、広島大学歯学部での外来患者を対象とした永久の欠損データの解析を行った。その結果、男女とも前歯が奥歯に対して欠損し難いこと、特歯に糸切り歯の寿命が長いこと、また、歯牙喪失が生じた場合、その両隣に位置する歯牙の喪失の危険度が増大することが分かった(大谷、大瀧ら、1996)。
その他、区間ドロップがある場合、観察期間に対し階段関数状のハザードを仮定して、グループド・データに対するコックスの比例ハザードモデルに対応するようなポアソン回帰モデルに基づく推定方法を開発し、広島県在住の原爆被爆者における死因別死亡危険度の解析に応用した(Matsuura, Hoshi et al.,1997)。
また、疑似乱数を用いたデータ添加法による方法について、理論的ないし実データの解析を含む応用的な研究を行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1. Otani, M., Ohtaki, M., Fujita, M.: Use of the Weibull hazard model to estimate age-specific probability of permanent tooth loss. Journal of Dental Research,75, 1458-1463, 1996.
2. Matsuura, M., Hoshi, M. et al.: Analysis of cancer mortality among atomic bomb survivors registered at Hiroshima University, Int. J. Radiat. Biol. 69, 1997.

1.大谷敬子,大瀧 慈,佐藤健一,藤田 実:繰り返し観察データに基づく永久歯の歯牙喪失に関する危険度解析.科研シンポジューム「医学・生物学データの統計モデル:理論と応用」、富山、1996年12月5日.
2.越智義道:超過変動を含むカテゴリカルデータの分析.科研シンポジューム「医学・生物?学データの統計モデル:理論と応用」、富山、1996年12月7日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1)左側トランケ−ションや左側センサリングを含む生存期間デ−タに対するパラメトリックないしノンパラメトリックな統計解析法の開発を行う。2)上記の方法に基づいたデ−タ解析を実行するための効率の良いコンピュ−タアルゴリズムを開発する。基礎理論やアルゴリズムに対して、統計数理研究所の物理乱数発生装置を使用したモンテカルロシミュレ−ションにより、有効性を検討・評価する。3)各種生存期間デ−タに対して、上記の方法に基づく統計解析を行い、その有効性に対する実証的研究を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

越智 義道

大分大学

佐藤 学

広島大学

橋本 哲男

統計数理研究所

松浦 正明

広島大学