平成242012)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

24−共研−1005

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

混合ガウス分布モデルに基づく惑星探査機高速中性粒子データの分類・解析

フリガナ

代表者氏名

ナカノ シンヤ

中野 慎也

ローマ字

Nakano Shin'ya

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助教

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

惑星探査機のデータには,様々なタイプのノイズが重畳しているが,膨大なデータの中から,多様なノイズパターンのそれぞれについて発生原因を同定するのは容易ではない.ノイズ特性をモデル化し,如何なる条件下でどのようなノイズが発生しやすいかということがわかれば,ノイズの発生原因同定に役立てることができ,将来の観測機器開発に役立てることができるほか,現在運用中の探査機をノイズが発生しにくいように運用するといったようなことも実現できる可能性がある.一方で,惑星探査の本来の目的から,新たな科学的知見を得ることも重要である.
本研究では,前年度に引き続き,火星探査機Mars Expressに搭載されている高速中性粒子センサ Neutral Particle Imager (以下NPI)のノイズ特性,シグナル特性のモデル化,及びノイズ成分の抽出を行った.Mars ExpressのNPIセンサには32のチャネルが付いており,それぞれが別の方向から到来する中性粒子を観測している.しかし,ある特定のチャネルのデータのみに何らかのノイズまたはシグナルが重畳し,そのチャネルだけが大きな値を示すという場合がある.そこで,32チャネルのデータに対して混合ガウス分布モデルを当てはめ,特定のチャネルのみが大きな値を示している場合とそうでない場合とを分類した.但し実際には,32チャネルは,4チャネルずつの8つのグループに分けることができ,各グループのチャネルは比較的似たような傾向を示すことが多い.
そこで,本年度は,まず4チャネルで構成されるグループそれぞれに混合ガウスモデルを当てはめ,8つのグループにおける混合ガウスによる分類結果をさらに多項分布の混合モデルで分類するという2段階の手続きで,32チャネルのデータを分類することにした.これにより,ある特定のチャネルで見られる特徴的なパターンと,別のチャネルで見られるパターンとの対応関係を詳しく調べることができるようになった.例えば,あるチャネルが太陽の方向を向いたときに現れやすいノイズのパターンについての各チャネル間の対応関係なども明確になった.
今後は,分類結果をもとに,科学的な知見の獲得に使えるシグナルパターンを抽出し,火星周辺環境の様々な物理過程の研究に役立てていきたい.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表等:
中野慎也, 「惑星探査機高速中性粒子データからの情報抽出」,物理計測とベイズ統計的方法研究会,2013年1月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

二穴 喜文

Swedish Institute of Space Physics