平成132001)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

13−共研−1021

専門分類

7

研究課題名

生物の初期進化の解明:研究の現状とデータ解析の問題点

フリガナ

代表者氏名

ハシモト テツオ

橋本 哲男

ローマ字

Hashimoto Tetsuo

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本課題「生物の初期進化の解明:研究の現状とデータ解析の問題点」では、これまでの共同研究のまとめとい
う位置づけのもとで、複数配列アライメント法と分子系統樹法について、現状における統計的データ解析の問
題点を整理し、それらを克服するための方策を検討した。この10年間、関連共同研究を含め、国内外の多く
の研究グループにより、解析上必須な配列データの蓄積がなされたこと、さらに一部のバクテリアや真核微生
物でゲノムプロジェクトが終了したこともあって、生物の初期進化に関する新知見は増大してきた。しかしな
がら、その一方で、分子系統樹の統計的推測を誤らせるさまざまな要因が存在していることも明らかになって
きた。たとえば、アライメントの曖昧さ、系統間や座位間での進化速度の極端な相違、塩基やアミノ酸組成の
系統間での極端な相違、置換の飽和に伴なう情報ロスなどの問題は、現実的にかなり深刻であることが多くの
実例から示されてきた。とくに生物の初期進化の問題のように、生物の歴史の非常に古い時代にまで遡って分
子系統樹の推測を行なおうとする場合,予期できないものを含めさまざまなノイズがデータに存在しており,
問題をより難しいものとしている。そうした状況において,一つもしくは少数の分子種のデータ解析のみから,
系統に関する推測を行うのは極めて危険である。本研究を通して我々は、多くの証拠に基づく「平均的」な推
測を下すため,個々の分子種の解析結果を最尤法の枠組みのなかで対数尤度の和という形で総合評価するアプ
ローチが有効であることを指摘した。それと同時に、進化過程のモデルを現実的なものへと改良していくこと
により、より良い推測を行えるようになる実例を示した。今後、データの更なる増大、モデルの改良、総合評
価のアプローチにより、さらに多くの具体的問題が解決されるものと期待される。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

橋本哲男,有末伸子,長谷川政美
分子系統樹法の応用と現状の問題点
?真核生物の初期進化の解析を例として?
統計数理,印刷中

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

長谷川 政美

統計数理研究所

矢野 隆昭

昭和大学

和田 明

大阪医科大学