平成182006)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

18−共研−6004

専門分類

7

研究課題名

評価基準の信頼性と妥当性の研究

重点テーマ

生物統計学の深化と展開

フリガナ

代表者氏名

モリカワ トシヒコ

森川 敏彦

ローマ字

Morikawa Toshihiko

所属機関

久留米大学

所属部局

バイオ統計センター

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

140千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究目的:本研究においては、治療効果の確たる証拠の基礎となる臨床データの信頼性・妥当性評価の方法論とその応用について研究する。
具体的には
(1) 信頼性の評価指標には一般に誤解があり、研究デザインを間違うと意図に反した結果が得られるので、研究デザインと得られる評価指標との関係を明らかにし、実践で使いうるものにする。
(2) また実例に基づくQOL調査票での実証研究を行い、妥当性を検証する。
ことを研究目標とする。

成果及び経過:
(1) 信頼性指標について、特に各被験者毎に一人の評価者が測定を繰り返すような実験は、最も実際的なものだが、被験者と評価者が交絡するために、ICC(級内相関係数として知られる信頼性指標)の分子に評価者分散を含む。したがって見かけの真値のばらつき(被験者間分散)が大きくなるゆえに、評価者分散が大きければ大きいほど見かけ上の評価者内信頼性係数が過大評価される皮肉な結果となる。したがってこのような試験デザインは避けなければならない。しかしながらより現実的なデザインとして、多施設試験のように1評価者が複数の被験者を評価するようなデザインでは、評価者分散と被験者分散との分離が可能であり、一元配置分散分析ではなく、マルチレベルモデルとして解析することにより妥当な解析が実施できる可能性が示唆される。この場合評価者数、評価者当りの被験者数、被験者当りの繰り返し数の影響度の評価、測定値でなくカテゴリー評価の場合にどのような解析が可能かについては今後検討しなければならない。これに関しては関連論文Sawa J. and Morikawa(DIJ, to appear)が参考になるかもしれない。

(2)呼吸器困難の程度を評価するための評価指標(MRF-28)の日本語版を開発し、その妥当性と信頼性の検討を行った。現在国際雑誌に投稿中。
妥当性に関してはクラスター分析により、元の質問項目で想定されている3つの領域(Domain)が再現された。また構造方程式モデルによる解析では潜在因子日常生活動作・病弱性間の関連性がかなり強いことがわかった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1) に関しては、直接の目標に関してなし
  関連論文及び発表として
Sawa J. and Morikawa, T., Inter-Rater Reliability for Multiple Raters in Clinical Trials of Ordinal
Scale, Drug Information Journal (to appear)
森川敏彦、信頼性研究と信頼性指標、H18年度重点型共同研究研究集会「科学的証拠を作りこむ技法としての生物統計学」、統計数理研究所、2006.11.3

(2) に関しては、論文投稿中。学会発表は以下の通り(折笠他)
  第7回日本QOL学会(2006年9月16日、東京; Quality of Life Journal 7(2): 19, 2006.)
第26回日本臨床薬理学会、2006年11月30日〜12月1日、東京;.臨床薬理. 37(suppl): S212, 2006.)
第104回日本内科学会総会、2007年4月3日〜5日、大阪;日本内科学会雑誌, 96(Suppl.): 125, 2007.)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究テーマに特化した研究会は開催しなかった。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

折笠 秀樹

富山大学

越水 孝

ヤンセンファーマ(株)

本田 圭一

塩野義製薬(株)

柳本 武美

統計数理研究所