平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−3

専門分類

1

研究課題名

多変量非正規モデルにおける各種統計解析手法の研究

フリガナ

代表者氏名

コニシ サダノリ

小西 貞則

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

大学院数理学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

9 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

昭和63年度共同研究(共研−2)の成果をふまえ,これを継続・発展させることを目的とする。このため各種統計手法の適用に際しての安定性・信頼性の評価等を,母集団の確率的変動を捉えるモデルとして,特定の分布型を仮定することなく行うための手法開発を行う。64年度は,現在集中的に研究が進められているブートストラップ信頼区間の構成法について研究を行う。さらに,統計的判別分析に関連して,次元数・標本数・変数間の関連性の度合を考慮に入れた統計手法の開発を目的として研究を行う。


本年度は,共同研究者ならびに海外の研究者との討論を通して,いくつかの新しい知見をえることができ,以下のような研究成果を上げることができた。
(1)観測されたデータに基づいて,母集団の特性を数値的に探る一つの統計的手法がブートストラップ法である。この手法の特徴は,極めて緩やかな仮定のもとでより複雑な問題をとり扱える点にある。本研究では,ブートストラップ法に基づいて信頼区間を構成する問題を,ノンパラメトリックなモデルのもとで理論的に検討し,手法のもついくつかの性質および特徴を明らかにした。すなわち,ノンパラメトリックなモデルのもとで,統計的汎関数のテーラー展開に基づくEdgeworth近似を用いて,(1)変換形を分散安定化変換と正規化変換の合成関数として構成し,(2)分布の偏りと歪の修正項の推定方法を与え,(3)Efron(1987,J.Amer.Statist.Assoc.)のブートストラップ区間推定が2次の精度を持つことを証明した。この結果をパラメトリックなモデルのもとで適用すると,変換に基づく区間推定の問題を統一的に扱うことができた。さらに,多変量解析における推測問題に適用し,二次の精度を持つことが保証される信頼区間を構成することができた。
(2)いくつかの特性に関して測定された多次元データの分析に関連して,本年度は,特に家族を単位として観測されたデータを分析するための統計手法の開発を行なった。これによって,複数の特性に基づいて,遺伝的要因を探るための問題,家族内の関連性の度合を推定する問題が扱えるようになった。また,家族内にみられる関連性の度合を考慮にいれた多変量統計分析手法を提案した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.Inferences on multivariate measures of interclass and intraclass correlations in familial data.Technical Report No.89−10,Center for Multivariate Analysis,Department of Statistics,Pennsylvania State University.
2.Comparison of procedures for estimation of error rates in discriminant analysis under nonnormal populations.Technical Report No.89−15,Center for Multivariate Analysis,Department of Statistics,Pennsylvania State University.
3.Inferences on principal components in multivariate familial data.Technical Report No.89−18,Center for Multivariate Analysis,Department of Statistics,Pennyslvania State University.
4.判別分析における変数選択手法−胃食道逆流現象の鑑別診断への応用−.医療情報学10(1),1990,37−48.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

非正規モデルのもとでの各種統計手法の研究を,理論的・実験的側面の両面にわたって行う。そのため研究を実施するに当っては,(i)理論面に関する新しい解析手法の開発,(ii)関連する研究の整理と開発した手法との比較研究,(ii)研究上必要とされる数式処理システムの機能の整理と拡充,(iii)ブートストラップ法に代表されるノンパラメトリックな手法に関する理論面の研究と計算機を用いた検証,(iv)導出された結果および統計手法に対する数値計算,シミュレーション実験を通しての検証,(v)医学データ,生物資源データへの適用を通しての,手法の安定性,信頼性の評価,などを効率よく行うことが必要となる。そのため,この研究実施計画にそって,関連する分野の研究者を集め,互いにアイデアを交換し,また分担協力することによって研究を推進する共同研究として実施する必要がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安芸 重雄

大阪大学

塩谷 實

明星大学

清水 良一

統計数理研究所

中村 忠

島根大学

仁木 直人

東京理科大学

早川 毅

一橋大学

本多 正幸

千葉大学

渡辺 美智子

東洋大学